「第二アクアライン」実現へ期成同盟会設立 SNSきっかけに千葉・房総で建設構想再燃 深層リポート
「日本経済を牽引(けんいん)するのは首都圏だ。東京湾口道路はその潜在能力を最大限、引き出すのに不可欠だ。房総半島をうまく活用すれば日本全体の活力にもつながる」
かつて国土交通省でアクアラインの建設に携わった一般社団法人「全日本建設技術協会」の大石久和会長も大きな期待を寄せる。新たな道路建設には兆円単位のコストがかかるとみられるが、大石会長は「そのカネは必ず、生きてくる」と断言する。
懸念の声もある。敬愛大学(千葉市)の根本敏則特任教授(交通経済学)は多方面へのメリットは認めながらも、「人口減少が進むなか、得られる効果は限定的だ。莫大(ばくだい)な国費の投入には見合わない」と指摘する。公共事業での費用対効果の指標とされ、値が大きいほど費用に対して効率よく効果が発生することを意味する費用便益比について「事業が妥当とされる1を超えないだろう」とも語る。
その上で「有料道路は利用者負担が原則で、料金収入で費用を賄えるかも心配だ。東京湾口道路では、アクアラインの値下げに必要だった国や県からの補助金には期待すべきではない。現状の混雑を緩和するのであれば値下げの打ち切りこそが先決だ」と主張する。
再び動き出した夢の懸け橋の構想。期成同盟会は年明けにも、国などへの要望活動を本格化させる。
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■東京湾口道路
千葉県富津市から浦賀水道を横断し、対岸の神奈川県横須賀市までの延長約17キロの道路。東京湾アクアラインや、千葉県市原市から東京都大田区までを結ぶ第二東京湾岸道路などとともに東京湾を8の字状に結ぶ東京湾環状道路の一部として位置付けられる。実現すれば、東関東自動車道、東京湾岸道路、横浜横須賀道路も含め、首都圏での大環状道路網が構築される。
■記者の独り言
「半島性」という地理的ハンディキャップを背負う千葉県だが、東京湾口道路は都心部に向かっていたヒトやモノの流れを変える可能性を秘める。既存の道路や橋の管理、補修にも巨額の費用が必要となるなか、いかにこれだけ大規模な公共事業を実現するのか。早期建設を訴える期成同盟会側には過去の調査内容を検証した上で課題点を早急に洗い出し、「国益」にも必ずつながるとの証明が求められそうだ。(松崎翼)