「第二アクアライン」実現へ期成同盟会設立 SNSきっかけに千葉・房総で建設構想再燃 深層リポート
房総半島の千葉県富津市と、東京湾を挟んだ先にある神奈川県横須賀市を高架橋か海底トンネルでつなぐ「東京湾口道路」を実現しようという壮大な構想が再び、動き出した。この15年ほど事実上、凍結されていたが、千葉県側の13の自治体などで構成する期成同盟会(会長=高橋恭市富津市長)が10月に設立された。地元の財界や地方議員も含め、既にある千葉県木更津市と川崎市を結ぶ東京湾アクアラインに続く「第二のアクアライン」を夢見て国への働きかけを積極的に進める。 【地図でみる】富津市と横須賀市をつなぐ「東京湾口道路」 建設構想が再燃している ■「橋が欲しい人、割といる説」と投稿 「思いを1つにすれば先人が夢見た建設も実現可能だ」 10月29日。木更津市で開かれた期成同盟会の設立総会で館山市や鋸南町など10市3町の首長らが一堂に会し、高橋会長はこう語った。 東京湾口道路を巡る動きは60年以上前にさかのぼる。昭和30年代以後、湾口周辺部の自然条件や浦賀水道の船舶の航行実態の調査が行われた。平成6年には地元自治体が建設促進に向けた協議会を立ち上げ、誘致活動が同9年の東京湾アクアライン開通後も盛んに行われた。 だが、同20年に流れが変わった。従来型の開発から、整備や保全に重点を移した国の国土形成計画に「長期的視点から取り組む」と記され、調査は打ち切られた。 転機は昨年、訪れた。SNSのX(旧ツイッター)に「ここに橋が欲しい人、割といる説」の文言に、東京湾口道路を示すルート案の画像を添えた投稿が話題を集めた。地元財界も再び要望の声を上げ、賛同の声が広がった。 建設構想再燃の背景にはアクアラインの慢性的な渋滞がある。国と千葉県が毎年約5億円ずつ負担し、通行料金を値下げした影響もあり、増加した交通量を減らす必要に迫られた。首都圏での災害発生時に備え、リスク回避のため、移動、輸送の代替機能を確保する必要性も増した。 仮に実現すれば人とモノの流れがよりスムーズになり、房総、三浦両半島のにぎわい創出にもつながる。 ■「日本全体の活力に」