なぜ横浜FCは三浦“カズ”に対するセルジオ越後氏の発言に正式抗議したのか…事実誤認の不適切発言を謝罪も
横浜FCは同時に、セルジオ氏の公式サイトおよびYouTubeの運営会社へ厳重に抗議したとも発表した。異例ともいえる強硬な措置の背景には、事実無根の情報が独り歩きする状況を黙認していけば、カズ自身がお金を払う対価で現役を続けていると、そのキャリアまでもが毀損される事態をも招きかねないと判断したからだろう。 カズの象徴である背番号「11」にちなみ、ここ数年は1月11日午前11時11分に単年契約が発表されてきたなかで、横浜FCはすでに来シーズンの契約延長を提示。今シーズンのJ1リーグ戦で1試合、1分間の出場に終わったカズの返答を待っている。 Jリーグ発足をヴェルディ川崎で迎えたカズは、クロアチア・ザグレブ、京都パープルサンガ、ヴィッセル神戸をへて2005年夏に横浜FCへ加入。実質的な「生涯契約」が交わされてきた背景は、カズが抱き続ける現役への思いと密接にリンクしている。 「サッカーが大好きで仕方がない。子どものころからサッカーのことしか知らないし、僕自身、サッカーには心から感謝している。だからこそ、サッカーに対して失礼のないように常に全力を尽くして、体と情熱が続く限りは現役を続けていきたい」 周囲には「ピッチの上で死にたい」とも語っているカズの生き様を深く理解した上で、横浜FCは今シーズンを含めて、毎年オフに必ずオファーを出し続けてきた。 横浜FCで強化育成テクニカルダイレクター、そして監督を務めた経験を持つ中田仁司氏から、フロントと指揮官の両方の視点でカズを語ってもらったことがある。 「練習開始の2時間前にはクラブハウスへ来て準備しているし、練習後には4、5時間をかけて体をケアして帰る。1日24時間のなかで、プロとはどうあるべきか、というお手本を常に示している。強化の立場としては『続けられるのならば頑張りなさい』という目線で見てきたし、監督としては『とことんやれよ』ですよね」 話を聞いたのはカズが50歳の誕生日を迎える直前の、2017シーズンの開幕を控えた時期だった。カズが横浜FCへ与えている相乗効果に言及しながら、Jリーグのなかでも異彩を放つ横浜FCというクラブの立ち位置を中田氏はこう表現した。