なぜ横浜FCは三浦“カズ”に対するセルジオ越後氏の発言に正式抗議したのか…事実誤認の不適切発言を謝罪も
「横浜FCというクラブの持つ力が、カズをバックアップしていることは正直あります。ただ、これだけJクラブの数が増えたなかで、カズのようなレジェンドがいてもいいじゃないですか。もちろん、可哀想だからカズが現役でいるわけでもない。プロの集団として勝つために、僕も彼のコンディションを見ながら戦いに挑むわけですから」 しかし、前述したようにJ1リーグの舞台で2シーズン続けてほとんど戦力になれず、ゴールに至ってはJ2時代の2017年3月12日に、ザスパクサツ群馬戦であげた決勝点が最後になっている非情な現実を、カズ自身が真摯に受け止めている。 カテゴリーを下げてでもプレーできる時間を模索しているカズに対して、実兄の泰年氏がGM兼監督を務めるJFLの鈴鹿ポイントゲッターズなどが獲得に乗り出していると報じられている。横浜FCには心の底から感謝しつつも、どうしても生じてしまう甘えを断ち切り、一人の現役選手として勝負したいカズの思いが伝わってくる。 横浜FCの抗議を受けて、セルジオ氏も同日夜に「蹴球越後屋」を急きょ更新。タイトルに「今回の騒動について」と銘打った3分弱の新規動画内で、事実無根と指摘された部分に対して「僕の過ちであり、謝りたいと思います」と頭を下げた。 事実を誤認した不適切な発言だったと認めた上で、同氏は来シーズンから横浜FCがJ2降格を喫し、今シーズンの途中には監督が更迭されている事実に言及。その上で発端となった3日の動画内で、カズの去就に言及した理由をあらためて熱弁した。 「ここ何年も試合にほとんど出ないし、得点もしない。他のチームは厳しいのに、なぜ横浜FCはあれだけカズをかばうのか。プロリーグはアマチュアとは違う。どんな選手であれ、試合に出なければ戦力外になる。カズであれ誰であれ、貢献しない選手が去っていかなければJリーグは沈んでいく。貢献って何だろうということで声をあげました」 カズを「プロフェッショナルなお手本であり、宝です」と認めるセルジオ氏の主張は理解できる。単身で留学したブラジル時代から積み重ねてきたキャリアを誰よりも尊重しているからこそ、晩節を汚すなというメッセージも込められていたのだろう。 ただ、カズが現役続行を望み、カズを求めるクラブがある以上は、そこには何らかの「貢献」が存在する。ピッチ上でのそれを強く追い求め、大阪ですでに自主トレを開始しているカズは、今月中には来シーズンへ向けた結論を出したいとしている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)