NASAの惑星探査機「ボイジャー2号」科学機器の1つをシャットダウン
今回電源が切られたのはマサチューセッツ工科大学(MIT)で開発された「プラズマ科学実験器(PLS)」です。PLSは太陽風や惑星の磁気圏内の荷電粒子を測定するための装置で、4つの検出器(ファラデーカップ)で構成されています。検出器のうち3つはほぼ同じ方向を向いていますが、太陽風の方向を測定できるように少しだけ角度を変えて取り付けられています。残る1つは他の3つに対して直角の方向を向いていて、磁気圏や太陽圏、太陽圏脱出後は星間空間の荷電粒子を捉えていました。 NASAによると、太陽圏の内部では太陽から放出されたプラズマが太陽風として外側に向かって流れていますが、太陽圏の外、特に太陽圏の前面(太陽の進行方向)に近いボイジャー2号が飛行している辺りではプラズマがほぼ反対方向に流れています。ボイジャー2号が太陽圏を脱出する過程で、太陽を向いていたPLSの3つの検出器はプラズマの流れの大幅な減少を捉えており、探査機が太陽圏を離れたことを判断する上で重要な役割を果たしています。太陽圏の脱出後、PLSの4つ目の検出器から得られる有用な観測データは探査機が太陽を向いたまま3か月に1度360度回転する時に限られており、宇宙線サブシステム(CRS)やプラズマ波サブシステム(PWS)といった他の科学機器に先駆けてPLSをシャットダウンさせることを決定する要因になりました。 NASAはボイジャー2号について、2030年代までに少なくとも1つの科学機器で星間空間を探索し続けるのに十分な電力があると述べており、他の大きな問題に直面しない限りあと数年はミッションが続く見込みです。【最終更新:2024年10月3日12時台】 Source NASA - NASA Turns Off Science Instrument to Save Voyager 2 Power MIT - An interstellar instrument takes a final bow
sorae編集部