【映画『室井慎次』考察】『踊る大捜査線』は2024年も有効なコンテンツたり得るのか? 今後を占う「ふたつのカギ」
シリーズの今後を占う<ふたつのカギ>
では果たして、このシリーズは今後も国民的な人気コンテンツになり得るのだろうか。おそらくそのカギは、ふたつある。 ひとつは、カリカチュアされた官僚主義的組織論が、2024年の視聴者にリアリティをもって訴求できるかどうか。一般のサラリーマン目線からしても、『踊る』が提示する組織論は、今ではあまりに旧態依然すぎる。時代錯誤感を感じてしまう可能性があるのだ。 もうひとつは、50代半ばを迎えた青島をどのようなポジションで描くか。劇中では、警視庁の捜査支援分析センターに所属していることが新城賢太郎(筧利夫)の口から明かされている。どうやら所轄から警視庁へと栄転して、出世街道を走っているらしい。 組織に立ち向かい、キャリアと対立してきた青島を警視庁勤務にさせることで、これまでのようなノンキャリア組カタルシスを発動させることはできるのか。ひょっとしたら彼は、かつての和久さんのようなメンター的ポジションとなり、主人公にはフレッシュな若手が起用されるのかもしれない。 お仕事ドラマ+都市型ドラマ+コメディという要素は、今でもじゅうぶん有効だ。だが初放送から四半世紀が過ぎた今、そのリビルドには少なからずチューンナップが必要なはず。その答えは、近い将来に発表されるであろう新作で明らかになることだろう。
竹島ルイ