「まずは投手が頑張らなければ」カープ・大瀬良大地が歩んだ復活の道
昨季オフ、3度目の右肘手術を決断。不安を抱える中でシーズン開幕を迎えた大瀬良大地。しかし開幕後は、不安を一蹴する快投を連発し、完全復活を印象づける活躍を見せた。ここでは、8月上旬の独占インタビューをお送りする。(※数字は8月7日時点) 【写真】日米通算203勝を挙げ、『野球殿堂入り』を果たした黒田博樹球団アドバイザー ◆先発陣の好調さが相乗効果を生み出していた ─今季は素晴らしい投球が続いています。ここまでをどう自己評価されますか? 「シーズン入りたての頃は、5回くらいまでしか投げられなかったり、イニングが短いケースが多かったのですが、少しずつ長いイニングを投げられるようになって、ゲームもつくれていると思います。シーズン前に自分が思っていたよりも、防御率も含めて出来過ぎだったと思います」 ─8月上旬までは、防御率0点台を継続していました。 「試合で投げていると、僕がピンチを迎えたときに、例年よりも相手チームの応援がすごく大きくなって『大瀬良から点を取ってほしい』と感じる面はありました。ビジターで投げる時は特にそう感じますね(苦笑)。自分としては防御率を意識しているわけではなく、その時、その時で精一杯なので『抑えられて良かった』という感覚が続いています」 ─大瀬良選手が登板した試合の勝率の良さ(16試合登板中12勝)も際立っていました。 「もちろん自分に勝ち星がつくことが先発として一番だと思っています。ですが、そうでなかった場合には、長いイニングを投げて試合がしっかりつくれていれば、自分に勝ちがつかないでマウンドを降りてもチームが勝てば頑張りが報われた気持ちになります。僕が投げた試合はなんとか勝たなければならないと、みんなが思ってくれていればうれしい事ですよね。昨年、一昨年は自分が投げてチームが負けてしまうケースが多くありました。その経験があるので、自分が投げた試合で、チームが勝って、ハイタッチで終われるというのは本当にうれしいことですし、気持ちが良いものですね」 ─大瀬良投手をはじめ、九里亜蓮投手、床田寛樹投手、森下暢仁投手と先発4本柱の安定感も光っていました。 「みんなすごい数字を残して、良いピッチングでつないでくるので、僕も含めて『いつ打たれてしまうんだろう』とプレッシャーがあったと思います。みんなでそういう話をよくしますし、みんなが同じ気持ちで登板日を迎えていますけど、先発陣の良い流れ、勢い、負けられない思いが、相乗効果で良い結果につながっていたのだと思います」 ─プロ11年目ですが、このような状況を感じたことが過去にありましたか? 「ここまで良い状態が続いていたことは経験にないかもしれません。マエケンさん(前田健太・現タイガース)、黒田博樹さん、ジョンソンなど、良い投手がそろっていた時期はありましたけど、ここまで先発陣の防御率が良い状態が長く続いたことはあまりなかったと思いますね。僕の防御率が良いのも、野手が守ってくれていることと、先発陣の好調さからの相乗効果のお陰です」 (中編へ続く)
広島アスリートマガジン編集部