ホンダエコマイレッジチャレンジ2024で見るカーボンニュートラル燃料の今
2024大会からホンダエコマイレッジチャレンジにカーボンニュートラルクラスが誕生
“1リッターのガソリンで何km走行できるか?”をテーマに、速さではなくマシンの燃費性能を競うのがこのホンダエコマイレッジチャレンジ。1981年の初開催(当時はHondaエコノパワー燃費競技大会)からすでに43回を数え、日本はもとよりタイ、ベトナム、中国などでも開催されるる競技となっている。 この歴史ある燃費競技大会に、今年からCN燃料(『ETS Renewablaze Nihon R100』)を使ったカーボンニュートラル燃料クラスを、中学生~一般、二輪車など全カテゴリーに新設。計57チームがこの新しいカーボンニュートラル燃料クラスに挑戦した。 ────────── ホンダ二輪・パワープロダクツ事業本部長・加藤稔氏の談話 ────────── カーボンニュートラル燃料クラス新設に伴って記者会見も開かれ、同大会の大会長でありホンダ二輪・パワープロダクツ事業本部長でもある加藤稔氏はこのクラス新設した理由について、「レースの世界ではすでに全日本ロードレース選手権(JSB1000)やMotoGP、この後F1などもCN燃料を使っていくことになる。我々ホンダもカーボンニュートラルを目指しており、エコマイレッジチャレンジもCN燃料に取り組んでいくことになりました。2023年にエキシビジョンを行い、今年から正式採用となったわけです。燃料が変わると参加するチームの皆さんは大変だと思いますが、新しいチャレンジを一緒にやっていこうと決断させていただきました」と語る。 我々ユーザーが気になるのは、CN燃料が一般の車社会にも浸透してきたり、現状のガソリンの代替燃料となったりする可能性があるのかということだが? 「今、地球上に2輪も4輪も含めて内燃機関の車両が約4億台くらい走っています。これからも保有台数は増えていくと思いますが、それらを全てCN燃料で賄うのは難しいらしいです。十分な量のバイオエタノール系の燃料を生産するには地球がもう一個必要になるという説もあるくらいで、そんなに簡単な話ではない。ホンダではBEV車両を含めいろんな可能性を模索しているところです。お客様に選んでいただける商品、サービスをカーボンニュートラルで実現していきたいと思っています(加藤氏)」。 今後、CN燃料で走れるホンダ製のバイクが出てくる可能性については? 「ブラジルではすでにバイオエタノール系のE100(CN100%の燃料)で走ることができる車両はすでに走っています。今後インドではフレックスフューエルのCN燃料で走ることができる2輪車を出していく予定です(加藤氏)」。 CN燃料を使って既存のスーパーカブで公道を走ったりする時代がくるのでしょうか? また、既存エンジンをユーザーのモディファイレベルでCN燃料対応化することができるのだろうか? 「難しいと思います。品質保証の観点からすると、最新の排出ガス規制にミートしたフレックスフューエルモーターサイクルをホンダが開発しないとCN燃料を使って公道を走ることは難しい……そんな状況です。今後、E100のCN燃料が流通する可能性も、今ところなさそうですね(加藤氏)」。 ブラジルやインドで普及しているCN燃料が日本では普及するのが難しい理由はなんでしょうか? 「バイオエタノール系のCN燃料を日本で作ろうとするととてもコストが高くなるんです。ブラジルでは砂糖を作るためのサトウキビを大量に生産しており、その絞りカスがあるのでバイオエタノール燃料が作りやすい。捨てるもので作っているから安くできるが、日本ではおそらくそのために植物を育てることになり、そうなるとCN燃料を安く作ることが難しい。ガソリンより高くなってしまっては誰も買わない燃料になってしまいますからね(加藤氏)」。