77歳の飛行機「DC-3」へ潜入 今もなお現役で飛べる理由は
77歳の飛行機「DC-3」へ潜入 今もなお現役で飛べる理由 撮影:柳曽文隆 レポーター:岡本ゆか 音楽:打越元久 THEPAGE大阪
1940年に製造されたダグラス社のプロペラ機「DC-3」が19日に兵庫県神戸市の神戸空港から神戸や大阪市の上空を飛行した様子を同日お伝えした。20日も先述の場所周辺を飛行しており、この機体を目撃された方もいるかもしれない。21日の午前中、2回にわたり神戸や大阪での最後の飛行を行い、次の目的地である福島県へ向かう。関係者は「この機体は限られた人が抽選でしか乗れない貴重なもので、日本を飛ぶのも規制が厳しい中でのことで『間近で見られる機会は最後かもしれませんよ』」と話す。そう聞くと、この貴重な機体が関西へ来た記録をしっかり残さねばと思い、改めて映像も使ってお伝えする。
旅客機の草分け的存在
今回の搭乗取材にあたり、報道陣らへの説明などを担当した航空ジャーナリストの中村浩美さんによると、この「ダグラス DC-3」は、1935年にダグラス社(現在のボーイング社)が開発した、世界最初の商用旅客機だという。当初は、アメリカ大陸横断などに使われる「寝台飛行機」としても活躍するなどし、初めて乗客を乗せるだけで採算が取れる旅客機の草分け的存在だそうだ。
航空機史上最大のベストセラー飛行機
およそ10年間で1万6千機以上が製造されており「航空機史上最大、輸送機・旅客機史上、類をみない大ベストセラーの飛行機です。アメリカで1万機以上が製造されたが、特に『軍用の輸送機』として大量に採用されたのがその理由ですね」と中村さんは語る。 いま神戸に来ているのは、スイスの時計メーカー「ブライトリング」が維持・保存を支援する「ブライトリング DC-3」だという。同機は1940年にアメリカン航空に納入され、第2次世界大戦中は軍で使用され、戦後はチャーター会社などで使われた後、現在に至るという。
機長「1時間の飛行に100時間のメンテナンス」
77年にわたり世界の大空を飛んできた同機だが、なぜ、こうして元気に飛び続けることができるのだろうか。 同機の操縦かんを握り、クラシック飛行機の保存維持に楽しみを見出しているというフランシスコ・アグーロ機長に聞いてみると「この飛行機を1時間飛ばすなら、私たちはそれに100時間かけてメンテナンスを行っています」と語った。特にエンジンは神経を使うところで、入念なメンテナンスが常に行われているという。