異名は”熱男”!なでしこジャパンの新監督に選ばれた池田太は東京五輪で惨敗したチームを再建できるのか
当時のチームからは南に加えて宮川麻都、北村菜々美、林穂之香、遠藤純、宝田沙織が今夏の東京五輪代表に名を連ねている。アンダーカテゴリーからピラミッドの頂点に位置するなでしこジャパンへの継続性が重視され、そこへチームの士気を高める手腕、世界一へ至る試合内容が高く評価された結果として池田氏は有力候補に上がっていた。 もっとも高倉監督もU-17女子代表を率い、2014年のFIFA・U-17女子ワールドカップを制した実績と継続性が評価されて、世代交代が急務だったなでしこジャパンの監督に、十分な実績を残した佐々木則夫監督に代わって2016年4月に就任した経緯がある。 アンダーカテゴリーでは成果を残すものの、いい流れをなでしこジャパンに結びつけられなかった5年あまりにおよぶ高倉体制を、JFAはどのように総括しているのか。オンライン会見に同席した今井女子委員長にも、当然のように質問が飛んだ。 「高倉監督は個人戦術を大事にしながら、チームとしての戦い方をあまり限定せず、状況に応じた判断で適切なプレーをすることを一番大事にされていた。スタイルを限定することを好まないというか、限定していくことで失われるものを嫌っていました」 自由度を尊重していた高倉監督のもとで臨んだ、2019年の女子ワールドカップではベスト16で敗退。東京五輪でも一敗地にまみれた結果を受けて今井委員長はこう続けた。 「高倉監督が確信を持っていたスタイルが開花するように私たちもサポートしてきた。ただ、現段階までで言えば理想としてきたものは長い間、発揮できたわけではないと考えている。もう少し約束事、決まり事、あるいは拠りどころとなる軸があった方が、選手たちがより安心してプレーできた部分もあったのかな、と思っています」 経験の浅い若手や中堅を積極的に登用してきた高倉体制の流れを継続しつつ、U-20女子ワールドカップ制覇へ導いた手腕で、2018年のアジアサッカー連盟(AFC)会長特別賞を受賞した池田氏の、自由度に規律も融合させたチーム作りに再建を託す。 ただ、アメリカ女子代表の一強時代が続いた世界の女子サッカー勢力図は、いま現在も急激なスピードで変貌を遂げている。 前回の女子ワールドカップでは、環境面を含めた投資へ本腰を入れ始めたヨーロッパ勢が台頭。まだ記憶に新しい東京五輪ではカナダ女子代表が初めて金メダルを、準々決勝でなでしこジャパンを一蹴したスウェーデンが銀メダルをそれぞれ獲得した。 「さまざまな戦術や環境、フィジカル、アプローチといった面で世界の女子サッカーが進歩するスピードがどんどん上がっていくなかで、日本がどのような武器で世界に打って出るか、立ち向かっていくか、そして上回っていくかを考えています」 就任会見に臨んだ池田新監督は第一声のなかで、史上初の女子プロリーグ、WEリーグがスタートしたばかりの日本と世界との距離が開いている現状を正直に認めた。その上で、たとえば大きく後塵を拝したままだと指摘されて久しい欧米勢とのフィジカル能力に対して、独自の考え方を明かしている。