麻布大附・安彦篤監督「もう少し彼らと一緒にいたいし、成長も見たい」
7月15日、第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選1次予選の3回戦が行われ、麻布大附が綾瀬を相手に2-0の完封勝利を収めブロック決勝進出を決めた。 【フォトギャラリー】綾瀬 vs 麻布大附 前半、MF5五十嵐司のFKが直接ゴールネットを揺らし1-0でハーフタイムを迎えた麻布大附だったが、安彦篤監督はそんな状況にも違和感を覚えていた。 「ウチは関東、インターハイと連勝してないんですよ。勝って翌週迎えるのがなくて、テンション的なものですかね、心配しているところが出てしまっているなっていうのがあって…まぁゆっくりがウチのいいところではあるのですが、この雰囲気と綾瀬さんの勢いというかそう言ったところは懸念材料だったのでちょっと嫌な展開でした」 後半の修正点を選手たちに伝え、ハーフタイムも終わりに近づいたところで指揮官の顔つきが少し険しくなった。 「もっとお互いに声を出さないと。選手権だぞ!わかってるのか?集中しないと。もう一回冷静に早く攻めよう」と指揮官の真剣な眼差しから発せられるこの言葉に触発されたのか後半の麻布大附はスタートからプレッシングを強め、相手のストロングポイントを消しにかかると、60分には記録上はオウンゴールとなったもののキャプテンのFW9柳瀬怜の裏への抜け出しから追加点をあげ、粘る綾瀬を振り切った。 この結果に安彦監督は「もう一回やらなきゃってところでテンポが上がったのは良かったです」と満足げに切り出した。続けて「(選手権というのは)やっぱりみんながここに思いを込めてやる大会じゃないですか。別にサッカーはこれで終わりじゃないとは思うんですけど、ここでサッカーを辞める子もいれば、3年間ここにかけてきた子の思いとか、保護者も含めて全部詰まっているので、嘘のつけない大会だよってっていうのはずっと言ってきていて…ただ、なかなかわからないですよね経験しないと。でも負けて気づくなら、最初から気づかせてあげた方がずっと良いと思って。彼らも舐めているつもりはさらさらないんです絶対に。でもちょっと違うんじゃないか?と…彼らのかける思いと綾瀬さんの思いが。ちょっと今日は足りないじゃないのって」とこの試合に対する熱い思いを明かした。 選手たちも「1-0の気持ちだと勝てない。あと何点か行くぞという気持ちで後半に入りました」と柳瀬が話せば、五十嵐も「何かフワッとしたというか何か前回の試合とは違った雰囲気があった。それをピリッとさせてもらい後半は良い形で入れました」と試合を振り返った。両選手が話した通り、それぞれが感じ取り、後半のプレーでその答えを出してみせた。 「(選手権)全体の雰囲気というか思いを持って予選を勝ち抜くっていうのは貴重な経験で…夏を超えると本当にウチの選手たちは化けるので、もう少し彼らと一緒にいたいですし、成長も見たいので何としても超えたい、是が非でも。もちろん色々とこだわりはありますけど、何としても彼らを上へ連れていきたいですし、連れていってもらわないと困ります(笑)」(安彦監督) かつては2年連続で全国への切符を掴んだ麻布大附(当時は麻布大附属淵野辺)。安彦監督が選手たちと過ごす時間が長くなればなるほど、強いあの古豪が帰ってくる。 (文・写真=西山和広)