なぜ森保Jは新型コロナ禍で9人の欧州組を招集することができるのか?
東京五輪に臨む男子代表と、2022年のカタールワールドカップ出場を目指すフル代表をともに森保監督が率いてきた過程で、JFAは2つのカテゴリーをラージグループとして一体化させてきた。東京五輪世代をフル代表に引き上げられる状況にある今回の3月シリーズで、それでもフル代表で代役のきかない存在となっている冨安だけにとどめた理由を、森保監督はこう説明している。 「東京五輪世代の選手たちには基本的にアルゼンチン戦に回り、経験を積んで個々のレベルアップにつなげてもらいたいと考えた。素晴らしい相手とプレーする時間が長い方が東京五輪へ向けた強化に、その先のフル代表の強化につながっていくと思っている」 14人を数えた国内組は前述した8人の初招集組と、森保ジャパン発足後では初めて呼ばれたGK西川周作(浦和レッズ)、DF松原健(横浜F・マリノス)という顔ぶれが大部分を占めた。34歳の西川を除けば、9人全員が東京五輪世代には該当しない20歳代の選手となった。 森保監督はフル代表には年齢は関係なく、その時点で調子がいい選手が対象となる、という持論を展開してきた。その観点では、たとえば開幕6試合で5ゴールをあげている38歳のFW大久保嘉人(セレッソ大阪)の復帰も考えられたなかで、指揮官は「結果を残しているし、輝きを放つプレーをしていると評価している」とベテラン勢へ敬意を表した上で、こんな言葉を紡いでいる。 「戦力の幅を広げ、底上げを図りながら、この先の最終的な目標に向かってより強いチームを作っていきたいと考えている。そのなかで、Jリーグで存在感を見せている、代表での経験の浅い選手たちに加わってもらうことで個々のレベルアップにつなげてほしいが、だからと言ってベテラン勢は必要ない、というわけではない。彼らは豊富な経験値から計算ができるので、違う選択をさせてもらっている」 国内組の選考にあたっては新型コロナウイルス感染のクラスターが発生し、J1リーグの開幕直後から活動を休止しているガンバ大阪のGK東口順昭、DF昌子源、DF三浦弦太、MF井手口陽介らも呼べない事情もあった。そのなかで選んだ23人を、森保監督はこう位置づけている。 「過去・現在・未来のなかで総合的に考える部分と、ニュートラルに考える部分とを踏まえて、ベストの選択をしたと思っている」 フル代表の常連だったMF久保建英(ヘタフェ)やMF堂安律(ビーレフェルト)に加えて、昨シーズンからブレーク中のMF三笘薫(川崎)、6ゴールをあげて今シーズンのJ1得点ランキングで単独トップに立つFW前田大然(マリノス)らの招集が予想されるU-24代表は19日に、森保監督に代わってU-24アルゼンチン戦の指揮を執る横内昭展監督(フル代表コーチ)から発表される。 (文責・藤江直人/スポーツライター)