なぜ森保Jは新型コロナ禍で9人の欧州組を招集することができるのか?
まず日本への移動に関しては、出国前の72時間以内にPCR検査を受け、陰性が証明された段階で初めて認められる。日本への入国時にも空港内で抗原検査を受け、さらに入国翌日から3日間連続で実施されるPCR検査ですべて陰性が確認されて初めて試合に出場できる。 日本代表においては国内組も代表合流時にPCR検査を受ける一方で、練習および試合以外の時間はヨーロッパ組と接触できない状況下に置かれる。具体的には宿泊ホテル内でフロアが分けられ、食事会場や移動時のバス、練習時のロッカールームなどもすべて別々となる。 各対戦チームにはJFAから連絡係がそれぞれ2人ずつ同行し、入国から出国まで完全に「バブル」のなかに入る状況を補助する。U24代表の東京から北九州への移動はチャーター便が用意され、移動バスのドライバーに対してもPCR検査を実施し、各チームとの接触も避ける形が取られる。 さらに活動終了後にもPCR検査が実施され、陰性が証明されて初めて宿泊ホテルからの移動および出国が許可される。他のスポーツ競技団体が海外から選手団を受け入れ、東京五輪開催へ向けた環境を整えていく指針とする目的のもとで、極めて厳密な防疫措置が取られていく。 もっとも、入国後の自主待機期間が免除される特例下でも、森保一監督が望んだすべてのヨーロッパ組を招集できたわけではなかった。森保監督とともにオンライン会見に臨んだ、JFAの反町康治技術委員長は「名前を挙げることはできないが」と前置きした上でこう語っている。 「けがやコロナの関係で招集を見送った選手が、国内もしくは海外で何人かいることは間違いない。同じ国でもクラブによって違うので、最後まで調整というか、決めていくのが難しかった」 再入国者に対してはヨーロッパ各国や、あるいはそれぞれの州や市単位で独自の検疫制度や隔離措置が設けられているケースが少なくない。ゆえに通常は各国協会に拘束力が生じるフル代表への招集が免除される特例を、国際サッカー連盟(FIFA)は世界中のクラブに認めている。 そのなかでGKでは川島永嗣(ストラスブール)とシュミット・ダニエル(シント・トロイデン)、サイドバックでは長友佑都と酒井宏樹(ともにオリンピック・マルセイユ)、室屋成(ハノーファー)、ボランチでは柴崎岳(レガネス)や橋本拳人(ロストフ)、2列目では原口元気(ハノーファー)、FWでは鈴木武蔵(ベールスホット)らの招集がけがを含めて見送られたとみられる。