五輪2冠の大橋悠依「大満足の競泳人生」 涙なし「晴れやかな気持ち」 指導者として次世代育成へ
競泳女子で2021年東京五輪個人メドレー2冠の大橋悠依(イトマン東進)が29歳の誕生日でもある18日、都内で引退会見を行った。冒頭で恩師の平井伯昌コーチから花束を贈られ、晴れやかな笑顔。競泳女子で日本初の五輪2冠を達成したヒロインは「幸せな大満足の競泳人生だった」と胸を張った。今後は所属の特別コーチとして活動するほか、大学院で栄養学などを学ぶ。 【写真】「大満足の競泳人生」 涙なし晴れやかな表情で現役に別れ 涙はなく、大橋は晴れやかな表情で現役に別れを告げた。「好きなことをこんなに長く続けられて、夢にも思っていなかった五輪で金メダルを獲得できた。苦しいことも多かったが、晴れやかな気持ちで引退を迎えられて誇りに思う」。栄光の後に苦悩も味わったが、充実感をにじませた。 東京五輪後、現役続行を決意してからの3年間は苦難の日々だった。「一番苦しかったのが22年。練習を途中で上がって、コーチの話を全て無視して部屋に戻ることもあった」。それでも歯を食いしばり、引退を決意したのは23年秋。「冬の苦しい練習を乗り越えられるのはあと1回」。ゴールを決めてラストスパートし、今夏のパリ五輪まで完走した。 貧血による体調不良などを乗り越え、ポテンシャルを開花させた競技人生を総括し「本当は120点と言いたいが、世界新記録に届かなかったので、95点にしたい」と自己採点。恩師の東洋大・平井監督がイトマン東進の総監督に就任することも発表され、指導者として師弟関係が復活する。「これから五輪に出て金メダルに届く選手を出していきたい」。第二の大橋悠依を発掘するべく再出発する。 ◆大橋悠依(おおはし・ゆい)1995年10月18日、滋賀県彦根市出身。姉の影響を受け、幼稚園時に彦根イトマンで水泳を始めた。14年に東洋大に進学し、4年時の17年日本選手権で400メートル個人メドレーの日本新記録を樹立。同年世界選手権は200メートル個人メドレーで日本新記録をマークし銀メダルを獲得した。2021年東京五輪は個人メドレーで日本女子史上初2冠を達成した。パリ五輪は200メートル個人メドレーのみに出場し、決勝進出を逃した。175センチ、57キロ。