亀田和毅が元WBC地域王者を4回KOで破った裏に横綱照ノ富士との”友情物語”…「井上尚弥との試合が見たい。全力応援します」
ジャンルは違うがファイターとして刺激も受け合う。 照ノ富士も「トレーニングや(体の)メンテナンス。相撲ではこう、ボクシングではどういう感じかと話し合ってやっていました」と言えば、和毅は、そのメンタルの作り方を参考にしているという。 「日本人は、負ければ落ち込んだりするが、“もう出し切ったんだが次!”と切り替えが早い。場所前も“楽しくいく”と。メンタルが強い。そういうところが勉強になる」 2人に同じく同級生で柔道の73キロ級でリオ五輪、東京五輪で連覇した大野将平が加わり、ジャンルが違うが世界を制した最強の格闘家トリオの友情の輪ができた。タイミングが合えば、焼肉など3人で食事にいく仲で、和毅には「凄いメンバー。現役でオレだけがチャンピオンじゃないんで、それがモチベーションになっている」との思いがある。 ちなみに減量のある和毅と体をでかくする照ノ富士の食事会の中身が気になるが、「ガナはそれほど食べない」そうである。 照ノ富士とは互いの夢も語り合ってきた。 「ガナは今7回優勝しているけれど、2桁優勝して、日馬富士を超えて相撲界を盛り上げたいという夢がある。オレはボクシング界を盛り上げる」 和毅の夢は3階級制覇よりむしろ井上尚弥への挑戦だ。 リング上では「自分も2回チャンピオンになってもう1回チャンピオンと言ってもモチベーションが上がらない。日本人対決。ファンが臨むカードをやっていきたい。必ず実現します」とファンに約束した。 親友の照ノ富士に「井上尚弥戦が見たいですか?」と聞くと「もちろん。そういうことになれば、全力で応援にいきます」と熱烈なエールを送った。 ただ、井上尚弥は、年内にバンタム級の4団体統一という歴史的なビッグバウトが控えている。偉業を達成すれば、来年には、スーパーバンタム級に上げるが、和毅が挑戦戦を持つWBAスーパー、IBF世界同級王者アフマダリエフか、WBC、WBO世界同級王者のスティーブン・フルトン(米国)にダイレクトでタイトル挑戦する構想を練っており、今のところ亀田和毅の名前は眼中にはない。 和毅が、悲願のモンスター戦を実現するためには、昨年12月にメキシコで行われたヨンフレス・パレホ(ベネズエラ)との挑戦者決定戦に判定勝利してつかんだ指名挑戦権を生かして、アフマダリエフから先に“2冠”を奪い、井上を統一戦で迎え打つか、あるいは、井上のタイトル奪取を待ち、指名挑戦者として挑戦するしかない。 「(アフマダリエフへの)挑戦者決定戦に勝って権利を持っているが、団体(WBA)が決めることなので来ないときは次をどうしていくか。井上チャンプが、いつ(スーパーバンタム級に)上げてくるかもわからない。オレの体重がきついんでスーパーバンタム級でいつまでできるか。できれば早めに(井上と)やりたい」 和毅の運命の糸はどこへとつながっているのか。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)