「チャックテイラー」の世界観を服で表現! コンバースが提案する新たな価値
チャックテイラー。それは言わずもがな、往年のプロバスケット選手、チャールズ・H・テイラーが愛用したコンバースの伝説的シューズだ。 そして2023年2月、伝説に新たな1ページが書き加えられた。アパレルライン「チャックテイラー クロージング」が立ち上がったのだ。 今回は、チャックテイラー クロージングの立ち上げに携わり、現在はプロジェクトの主幹を担う岡本紘平さんに、ブランドをスタートした経緯や現在のラインナップについて詳しく話を伺った。
名作シューズのアパレルラインが生まれたワケ
そもそもチャックテイラーとはオールスターの通称だ。現在では、’60年代に見られる三ツ星のヒールラベルやアッパー部分補強のための当て布、サイドステッチが特徴的なヴィンテージモデルのオールスターをチャックテイラーと呼ぶ。
そんな名シューズの名前を用いた経緯について、岡本さんはこう語る。 「ローンチの1年半ほど前からチーム内で試行錯誤を繰り返しましたが、目標は常にシンプルでした。追い求めたのは、“一番いいもの”を作ること。 市場のトレンドを細かく分析し、ブランドのアイデンティティを示すようなハイエンドデザインを模索するなかで辿り着いたのが、コンバースの立役者であり、ハイエンドモデルやヴィンテージの象徴とも言うべきチャックテイラーだったんです」 いわば、名作シューズのアパレル化。口で言うのは容易だ。しかし、プロセスは決して単純ではなく、認知度が高いブランドの“顔”を扱うがゆえにプレッシャーも特大。 業界的な期待値も高く、同時にいくつかの取引先からは、「スニーカーは絶対に売れるし、それだけでいいんじゃないか」というような素っ気ない反応もされたそうだ。
それでも、舵は曲げない。当時、タイミング的にはコロナ禍以降にビジネススタイルが緩和され、“遊ぶように働く服”が市民権を得つつあった。軽快さとレトロテイストが内在するスポーツカジュアルも何度目かの台頭を果たしていた。そんな気分を追い風に、新しいアパレルの開発は進む。 定番として長く続くもの、ヴィンテージ感、ヘリテージ感……。それらすべてを備えるチャックテイラーらしい服が生まれるまで、特に苦労を強いられたのが生地の質感だという。 「独特なハリのある、アイコニックなキャンバスアッパーの質感を服に落とし込むべく、特別なウール生地を採用しました。愛知県・尾州の生地メーカーと作戦会議を繰り返し、糸の選定から織り方まで徹底的にこだわり抜きましたね」