人から頼まれた仕事だけして死ぬのはイヤだ…プロの写真家(34)が1000万円を雑誌づくりに注ぎ込んだワケ
■人生100年時代のヒント 構想から約1年半、着手から刊行までに半年をかけて取り組んだ「魂の結晶」(小田さん)の創刊号では、1990年代から現在まで、ヒップホップ業界の中心的存在であり続けているZeebraさんと、2000年代初頭に一世を風靡しながらも、人生の紆余曲折を経て、いまだに根強い人気を持ち続けているSEEDAさんのロングインタビューを掲載。 小田さんが本気で取り組んだことに共鳴するように、Zeebraさんからは番組に呼ばれたり、トークイベントへの出演など、多大なるフォローがあった。ここ数年アルバムを出していなかった唾奇さんからも「スイッチと気合が入った」と言葉をもらったという。やりたいことをやる、やりたくないことをやらないという、真っすぐに生きるラッパーが多いからこそ、小田さんの思いをリスペクトし、協力を申し出てくる人も増えてきている。 「注目を集め、買ってくださる人が増えることは、それだけBLUEPRINTの意義を感じてもらえているんだと思います。それによって、ヒップホップ業界のこと、ラッパーの生き様を世の中に発信して、協力してくれた方々にも恩返しができます。 出演してくださった方、製作に携わってくれた仲間、最後に自分自身。少しずつBLUEPRINを知ってもらい、皆さんに楽しんでもらえることが『三方良し』で、良い方向に進んでいるなと感じています」 一方で課題と話すのが、何とか雑誌を軌道に乗せることだ。vol.1は予約時点から「爆売れ」(小田さん)ながら、作品性を堅持しつつ資金面を含めて持続可能なビジネスの在り方を模索している。 「雑誌×ヒップホップ」という、一見厳しそうな道を選び、そしてある種の「副業」にもかかわらず、大量のお金、そして手間をかけてチャレンジした小田さん。その姿からは、人生100年ともいわれる時代のキャリアのヒントがあった。 ---------- 鬼頭 勇大(きとう・ゆうだい) フリーライター・編集者 広島カープの熱狂的ファン。ビジネス系書籍編集、健保組合事務職、ビジネス系ウェブメディア副編集長を経て独立。飲食系から働き方、エンタープライズITまでビジネス全般にわたる幅広い領域の取材経験がある。 ----------
フリーライター・編集者 鬼頭 勇大