人から頼まれた仕事だけして死ぬのはイヤだ…プロの写真家(34)が1000万円を雑誌づくりに注ぎ込んだワケ
写真家の小田駿一さんは本業の傍ら、私財を投じてヒップホップの専門誌をつくっている。小田さんはそれを「人生をより良くするために欠かせない研究開発」だという。一体どういうことか。ライターの鬼頭勇大さんが聞いた――。 【写真】vol.1に掲載されているBrooklyn Yasのインタビュー ■「旧ジャニーズ」「乃木坂」に勝った新雑誌の中身 有名誌の休廃刊がニュースとなることが多く「雑誌離れ」も叫ばれる中、この5月に新たな雑誌が創刊した。その名は『BLUEPRINT THE MAGAZINE』。ヒップホップにフォーカスしてイベントやグッズを手掛けるプロジェクト「BLUEPRINT」が制作している。 「雑誌が売れない時代に、日本ではそんなにメジャーじゃないヒップホップなんて扱って大丈夫?」と感じた人もいるかもしれない。確かにその視点は、正しい。実際にヒップホップ業界は長らく「冬の時代」が続き、その間に専門誌が相次いで消滅している。先述した雑誌離れも相まって、極めてチャレンジングな取り組みかもしれない。 とはいえ、あなどるなかれ。11月28日に発売した号(vol.1)は、何と予約受付次点で「旧ジャニーズ事務所所属アイドル」「乃木坂46メンバー」など人気アイドル・タレント関連の書籍をおさえ、Amazonのエンタメ書籍売り上げランキング1位、書籍全体でも売り上げランキング8位を獲得するほど、注目を集めているのである。 面白いのは、BLUEPRINTを主宰し、雑誌のプロデューサー的立ち位置を務めているのは、写真家の小田駿一さん(34)ということだ。出版社の社員でもフリーの編集者でもない、フリーのプロカメラマンが取りまとめを行っている。 小田さんによると、創刊号(vol.0)・次号(vol.1)の2冊を合わせて一千数百万円という製作費を「手弁当」で賄っている(一部協賛金あり)。本業で稼ぎを得て「同世代のサラリーマンくらいの稼ぎはあるか」と話す小田さんが、なぜこのような思い切った、そしていうならば「リスキー」な取り組みを始めたのか。 小田さんを取材すると「副業・複業」や「リスキリング」がさけばれ、これまで以上に自分のキャリアと向き合う必要がある時代における、ビジネスパーソンの“勝ち筋”が見えてくる。