韓ドラのファン、44歳から韓国語を学び始めて字幕監修者に、花岡理恵さん。
韓国ドラマの字幕監修を手掛ける花岡理恵さんは、大ファンだった俳優パク・ヨンハさんの突然の死をきっかけに「墓前にて韓国語で感謝を伝えたい」と考え、韓国語の勉強を開始。そして7年間の学習を経て、51歳で字幕監修者となった。語学学習を継続するコツや、身に付けた語学力を仕事に生かすための手法を聞いた。 【関連画像】韓国語の勉強に使ったテキストやノート。弁論大会の冊子には、韓国語でスピーチをした原稿が掲載されている(写真:桑原克典) 2003年に日本で放送された韓流ドラマ『冬のソナタ』の爆発的ヒットにより、空前の韓流ブームが巻き起こってから約20年。新型コロナウイルス禍では動画配信サービスのニーズが高まり、『愛の不時着』や『梨泰院(イテウォン)クラス』といった人気ドラマが続々と登場したことをきっかけに、現在「第4次韓流ブーム」が到来しているといわれている。 韓国ドラマをきっかけに韓国語を勉強する人は多いが、仕事にできるほど語学力を伸ばせる人は少ないのではないか。花岡さんは44歳から韓国語の勉強を始めて、51歳で字幕監修者となった。 日本文学が好きだった花岡さんは帝京大学を卒業後、早稲田大学の大学院に研究生として進学。その後まもなく結婚して専業主婦となり、子育てに専念した。花岡さんと韓国ドラマの出合いは、「冬ソナ」ブームから少し遅れてやってくる。レンタルビデオショップを訪れた花岡さんは、1996年に韓国で放送され、大ヒットしたドラマ『初恋』をたまたま手に取った。これが、いわゆる「韓流沼」に落ちるきっかけとなった。 「恋愛要素、貧富の差、あらゆる角度から丁寧に描かれたドラマで、これまでのドラマの概念が覆されるほどの衝撃を受けました」(花岡さん) そこから多くの韓国ドラマを見ていく中で、パク・ヨンハさんのファンになった。彼は『冬のソナタ』にも出演し、ペ・ヨンジュンさん演じる主人公の恋敵として人気となり、日本では歌手活動も精力的に行っていた。 育児や家庭のストレスもあり、当時気持ちが落ちていたという花岡さんにとって、パク・ヨンハさんは生きる希望だった。「眠れない夜に、ずっとヨンハさんの歌を聞いていました。あと1曲、聞き終わるまでは生きていよう、と思って暮らしていたんです」(花岡さん)。 ところが2010年、パク・ヨンハさんは突然、帰らぬ人となってしまった。「忘れもしない、あれは6月30日。朝起きて、子供のお弁当を作ろうと思ってテレビをつけた瞬間、そのニュースが飛び込んできました」と当時を振り返る。 ショックのあまり、その後しばらくの記憶がないという花岡さんだが、しばらくしてある思いが湧き上がってきた。「ヨンハさんの墓前に行き、韓国語で感謝の気持ちを伝えたい!」。こうして、韓国語の勉強を始めた。44歳からの新たな挑戦だった。