がんを再発した夫と、過労で倒れた妻。家族に幸せを運んだのは…。猫アレルギーの夫が言った「猫を飼いたい」から始まって
◆突然の入院 母猫と離してもよい3カ月を迎え、あと2週間で引き取れるという時、私は自宅のキッチンで倒れました。リビングにいた夫にかろうじて「私、今から気を失うから!」と伝えて。 そして汚れた敷物の上に横たわりました。もっと前にクリーニングに出しておくべきだった――そんなことを考えながら。 足が動きません。心臓がものすごい速さで、しかも不均一に打っています。昔から不整脈があったけれど、それまで特に生活に支障はなかったのに。 しかしここ半年で心拍数がかなり上がり、3週間前にアブレーションという簡単な心臓手術を受けたところでした。それで安心だと思っていたのに……。 救急に運ばれ、2時間におよぶ検査をして、途切れ途切れの心電図の結果が出ました。予後観察のために心臓科に入院し、なるべく早くまたアブレーションの手術をしてもらえるのを待つことに。 非現実的な気分でした。夫が癌だというのに、私のほうが入院しているなんて。家では子供たちが私を必要としているのに。しかし医師に「心臓を落ち着かせるために、もう一度“焼く”必要がある」と言われました。 ここ数年のストレスが溜まっていたのでしょう。愛する人が病気になり、闘病を支えるのは家族にとってもっとも辛いこと。 それに、健全とは言い難い会社で長く働いてきました。同僚は体調不良で休み、次々と辞めていきます。そこをマネージャーとしてやりくりせねばならず、時には3~4人分の仕事をこなしました。 結局、心も身体もそれ以上がんばれない状態に追いこまれていたのです。
◆新しい家族を待つ入院生活 同じ病室には他に3人心臓病の患者が入院していて、ベッドは薄いカーテンで隔てられているだけ。 私は幸い窓際のベッドでしたが、それでも向かいの女性が寝返りを打ち、咳きこむたびにベッドがきしみます。コロナ陰性だとは説明を受けましたが。 昼間は30度を超えるスウェーデンとしては暑い夏で、私は窓を開けて、8月の夜の空気を部屋に入れました。全身に貼られた心電図の電極がかゆくてかゆくて。 眠りにつく前にはミアのことを考えました。ミアが人生の光のように思えたのです。 入院3日目の8月9日は結婚記念日でしたが、コロナ規制により病院は訪問が一切禁止されていました。 しかし医師はしぶしぶ、「ポータブル心電図につながったままなら、正面玄関を出たところのベンチに15分間だけ行ってもいい」と言ってくれました。 太陽が焼けつくような病院のベンチでのひとときが、その夏の最高の思い出になりました。私たちはアイスクリームを食べて冷たいオレンジジュースを飲みながら、あと10日もすれば迎えに行ける新しい家族のことを話しました。 私たちにたくさん愛情を注いでくれる子猫――研究によれば、心血管疾患のリスクも低下するらしいし。 そして8月19日水曜日、ようやくミアを迎えに行くことができました。初めて彼女を抱いた時の感触といったら!
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