逆転PK弾のジュビロ山田大記に勇気づけられて――山雅の大黒柱・山本康裕の燃えたぎる気持ち「彼に届くぐらいの活躍をしたい」
頼れるサポーターと「一緒に戦っていきたい」
山本の飽くなき闘争心に火をつけてくれたのが、前日の11月30日のFC東京戦でジュビロ磐田の逆転PKを決めた山田大記である。今季限りで引退する1つ上の盟友とはかつて磐田で共に戦い、一言では語り尽くせないような紆余曲折を共有してきた。 「彼は常に先頭に立ち、矢面に立って自分自身、仲間を奮い立たせていた。昨日のゴールだけじゃなくて、プレーそのものに勇気づけられたし、それが今日の僕の頑張りにも繋がったのかなと思います。彼の分も背負うところまではいかないけど、やっぱり彼に届くぐらいの活躍をしたいなとは思います」 日頃、多くを語らない山本がこういった発言をするのだから、心底、燃えたぎる気持ちがあったに違いない。それが決勝進出に繋がったのは朗報だが、次の決戦に勝たなければ何も始まらない。 ここで引き分け以下なら、この1年間やってきたことが水泡に帰す。最悪のシナリオを回避するためにも、山雅の大黒柱には卓越した戦術眼と落ち着きを発揮してもらうしかないのだ。 「本当に引き分けで喜ぶのは今日が最後。勝った方が上に行くっていうのは、僕らにとって分かりやすい状況なので、次はアウェーですけど、きっとサポーターのみなさんの力でホームのような状況になると思う。一緒に戦っていきたいなと思います」と背番号15は改めて力を込めた。 最終決戦では福島戦のような早い時間帯の失点は絶対に許されない。霜田正浩監督も「最後の一発勝負なので、引き分けOKのルールを向こうが意識するまでもなく、僕らが勝つために先に点を取り、複数得点を取り、無失点で終わる。今まで続けてきたこと、積み上げてきたこと、それを最後の最後に出せればいいと思っています」と強調していたが、そういうゲーム運びができれば、4年ぶりのJ2復帰への道は必ず開ける。山本には“ピッチ上の指揮官”として圧倒的な存在感を示してほしいものである。 取材・文●元川悦子(フリーライター)
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