「今後も打力との兼ね合いによる併用制が続くのでは」…村田真一【巨人捕手起用分析】
球団創設90周年のメモリアルイヤーに、阿部慎之助監督の下で新たな船出を切ったジャイアンツ。2年連続Bクラスの汚名を返上し、4年ぶりのV奪回、その先の日本一を目指しているが、発売中の『週刊ベースボール』ではその巨人を大特集。ここでは球団OB・村田真一氏が阿部監督の捕手起用に関して分析したインタビューから一部を抜粋して特別公開する。【週刊ベースボール6月24日号より】 【選手データ】村田真一 プロフィール・通算成績
併用制の利点
阿部慎之助監督が2001年に選手として入団してきたとき、関節は柔らかいし、「これはいいキャッチャーになるな」と思いましたが、一方で「俺もまだ負けないぞ」という気持ちを持っていたことは確かです。 ところが当時の長嶋茂雄監督と原辰徳ヘッドコーチが話し合って、新人ながら開幕スタメンに抜てきしました。結果的にお2人の意見、見る目が正しかったということですね。だからもう「これは仕方ない」と、この年限りで引退することを決めて、コーチになりました。 ただ、コーチになったばかりのときもまだ僕は「毎年、20本くらいのホームランを打てるようなキャッチャーになるだろう」と思っていました。今思うと、とんでもなく失礼な話でしたね(笑)。その後は40本塁打した年もあれば打率3割4分を打った年もある。今年は巨人軍創設90周年ですが、歴代のベストナインを選ぶなら、間違いなくキャッチャーは阿部監督でしょう。 歴史に残るキャッチャーが監督になってどんな野球をするのかと思っていましたが、やはりピッチャーを中心とした守りを重視しました。「点をやらなければ負けない」という野球ですね。真っ先にブルペンを整備して、強力なピッチャー陣をつくり上げた。キャッチャーも含めたバッテリーでまず勝つ、という意思が伝わってきます。 その中でも阿部監督のキャッチャーのファーストチョイスは大城卓三で、それは今も変わらないのではなかと思います。ただ、あまりにも打撃不振が深刻過ぎた。同時に、キャッチャーとしての小林誠司や岸田行倫にはしっかり信頼を置いていたということでしょう。だから、大城を二軍で調整させるという判断をすぐに実行することができたのだと思います。