42万人が利用。「差異を彩へ変える」ダイバーシティ求人サイトJobRainbow代表 星賢人さんインタビュー
道なき道を拓き、未だ見ぬ新しい価値を世に送り出す人「起業家」。未来に向かって挑むその原動力は? 仕事における哲学は…? 時代をリードする起業家へのインタビューシリーズ『仕事論。』。 42万人が利用。「差異を彩へ変える」ダイバーシティ求人サイトJobRainbow代表 星賢人さんインタビュー 今回は、すべての人が自分らしく働ける社会をめざして、ダイバーシティ求人サイト「JobRainbow」を立ち上げた星賢人さんが登場。 今や400社以上の掲載企業が並び、42万人が利用するLGBTQ+向け求人サイトをはじめ、企業への研修や制度設計、職場環境整備などのD&I導入のコンサルティングを手掛ける星さんの起業への想い、目指す未来について伺いました。
世の中がもっと良くなる予感
──最初にJobRainbow立ち上げの経緯をお聞かせください。 私自身LGBTQ+の当事者ですが、中高校生時代は「言ってはいけない、知られてはいけない」、そんな雰囲気を感じながら生活していました。 でもあるとき、ネット上でカミングアウトしてみたところ、とても多くの人に受け止めてもらえました。自分のいた小さな世界から出てみると、いろんな人が認めてくれることに気づいて、それから「たくさんの人に会いたい」と思うように。 大学でLGBTQ+サークルの代表を務めていたのですが、そこで先輩たちがLGBTQ+であることを理由に、就職活動で壁を感じているという事実を知ったのです。 そんな現実がある一方で、LGBTQ+フレンドリーな企業もちゃんと存在するということも知りました。 私は当時ある大手テック企業でサマーインターンとして働いていたのですが、そこにはLGBTQ+のサークルが存在していて、社内的には同性婚も認められていました。ある先輩が、同性婚を機に上司にカミングアウトしたらベネフィット(福利厚生)などの申請を行なってくれたそうで、すごく喜んでいたんです。素敵ですよね。 この2つのエピソードから「社会には多様性を受け入れている企業が増えているのに、当事者の元に情報が届いていない」ことに気づきました。情報に非対称性があり、そのギャップが埋まっていない。 インターネット上のプラットフォームでこの課題が解消できないか? ビジネスとして成立したら双方がWin-Winな関係になるのではないか? と考え、学生起業しました。 ──当事者のみなさんと社会をつなぐことで、ご自身が感じたギャップを埋めたかった? はい、昔から当事者として「社会は、当事者とものの見方が全然違うことに気づいていない」という感覚があって。そこを伝えたいと思っていました。 たとえば、「異性愛者はわざわざ『私たちは異性愛者です』なんてカミングアウトしないのにLGBTQ+の人はなぜあえて言おうとするのか」と言われたことがありました。 これは、自分の視点からすると、むしろ異性愛者はつねにカミングアウトしている状態。つまり、社会の中で手をつないで歩き、ハグをしたりもする。2人の関係性は世間に公開されていますよね。LGBTQ+の人たちは、わざわざ公開しているのではない。 そういった視点の違いを知ってもらえば世界はもっと良くなるという確信がありました。