なぜ大坂なおみは大逆転で全豪OPベスト8進出を果たせたのか?「1年前の私なら絶対に勝てなかった」
この一連の数字が何を物語っているのか。 ミスでポイントを献上し続けても平常心を保ち続けた。試合のなかで気持ちを切り替える術も見つけ、さらに引き出しの中からそれまでとは異なる戦い方を使うこともできる。そして最後まで衰えなかったフットワークを支えたフィジカル。メンタル面でも、戦術面でも現在進行形で大きな成長を遂げている証と言っていい。 「1年前だったら絶対に勝てなかったと思う。精神的に少し強くなれたことは、私にとっていいこと。緊張と興奮が何か一緒にあるような感じだったけど、この舞台で最後までゲームを楽しむことができた。ただ、試合が終わった後はちょっと疲れちゃった」 思わず苦笑いを浮かべた大坂は、試合が終わった直後にはコート脇のベンチへ腰かけ、タオルですっぽりと顔を覆った。数年前に練習パートナーを務め、全仏や全英を制した姿に魅せられ、いつかは戦いたいと憧憬の思いを抱いてきたムグルサから四大大会で節目となる通算50勝目をマークした。そして、全豪オープンで日本の女子選手で歴代最多となる19勝目をあげて杉山愛さんに並んだ。 4回戦突破で手にした数字や記録は、もちろん大坂にとって通過点となる。16日の準々決勝では、四大大会で初めてベスト8入りを果たした、世界ランク71位の謝淑薇(35、台湾)と対戦する。2人は2年前に3回戦で顔を合わせた。大坂が敗退寸前に追い込まれるピンチからフルセットの末に勝利した相手だ。 大坂がジョークでメディアを笑わせながらも、その中に本音をちらつかせた。 「テレビゲームでは彼女のキャラクターを選択して、プレーしたことがある。考えつかないようなプレーをしてくるし、見ている分には楽しいけど、実際に対戦するのは楽しくないわ」 トリッキーなショットを駆使し、強打を封じ込めにくるベテランは14日の4回戦で、世界ランク20位のマルケタ・ボンドロウソバ(21、チェコ)をストレートで撃破した。いよいよ佳境へ突入する戦いへ。難敵との再戦へ大坂は早くも闘志を高ぶらせている。