料理家・山田英季さんの案内で、かっぱ橋でフライパンと鍋を探す。
せいろ料理が大好きな山田さんの選択基準は、とにかく丈夫なこと。毎日ガンガン使っても平気な頑丈さが欲しい。その言葉に和田さんも深くうなずいた。 「何度も使うからこそ料理の腕も上がる。よく道具を育てるといいますが、いい道具は人を育てるんです」
フライパンと卵焼き器|用途に合わせた素材を複数持ち。 フライパンは24cmか26cmを。
食材に熱がまわっておいしく作れるのは少し大きめの直径24㎝や26cm。
打ち出しとは金属を鎚で叩いて丈夫に鍛える技法で、表面に細かい凹凸ができ油なじみがよくなる。日本で唯一打ち出しのフライパンを作る『山田工業所』製。柄はビスではなく溶接留め。汚れ溜まりがない。
ステンレスとアルミを重ねた4層構造で軽量。内側はフッ素樹脂加工。
熱伝導のいい銅製。チヂミやアスパラガスなどを焼く小さなフライパンとしても重宝する。
行平鍋|熱がゆっくり伝わる厚手が人気。 おすすめは直径18cm以上。
行平(雪平)とは主に、注ぎ口と取っ手がついた片手鍋のこと。よく見るのは槌目が並ぶ打ち出しの行平鍋だろう。 野菜を茹でる、出汁を取る、ホワイトソースを作る、チャイを淹れるなど、いろいろな用途に使う人は厚手を選ぶとよい。理由は厚みがあると熱がゆっくり伝わり、焦げつきにくいから。 サイズは直径15cm以上がよく使われるが、あれこれ便利なのは少し大きめのもの。 アルミをステンレスで挟んだ3層鋼。厚手で耐久性もあるうえ軽量。IHでの使用可。新潟県燕市の『本間製作所』製。
せいろ|ポイントは素材。国産材なら水分を調整し上手に蒸しあがる。
せいろには和せいろと中華せいろがある。前者は木蓋なので密閉性が高く、餅や赤飯などと相性がいい。後者は保温性が高く、竹で編んだ蓋から蒸気が抜けてすっきり蒸しあがる。 いいせいろの条件は、材質が良いことと、つくりや留めが丈夫なこと。 茶碗蒸しや肉まんにも対応する深型。別売りのすのこ網を使うと上下2段で蒸し分けができる。手入れはサッと洗って拭くだけ。素材は国産ヒノキ、留め材は山桜の樹皮と金具。一枚の薄い板を曲げて成形する曲げ物の技が用いられている。
釜浅商店 1908年創業の鋳物店が原点。4代目店主は台所道具の目利きとして知られる熊澤大介さん。隣には包丁売場もある。 ●東京都台東区松が谷2・24・1 TEL.03・3841・9355 営業時間:10時~17時30分 年末年始休