横浜DeNAの無観客、マスク姿指揮、ベンチ内でソーシャルディスタンス…新型コロナ時代の新しいプロ野球が始まった
審判も主審だけはマスクを使用。ストライク、ボールのコールの声は聞こえてこなかった。ベンチ内もソーシャルディスタンスが守られた。間を空けて座るように「使用禁止」を示す張り紙が一人置きに張られていた。攻撃中にはベンチが定員オーバーとなるため、控え選手は、ライト側にせりだす「エキサイティングシート」に移動した。 ホームランやヒット、あるいは、好プレー。味方投手が三振をとっても、できる限り大きな声は出さずに拍手で祝福。ガランとした球場に拍手の音だけが大きく響いた。 試合後は、従来のようなぶら下がり取材や、駐車場に待ち受けての追加取材などは禁止。”ヒーロー”のオースティンは、マスク姿でベンチ上のスタンドに上がってきてメディアと十分なソーシャルディスタンスを保った上でインタビューに答えた。ラミレス監督も同じパターン。もし雨が降った場合は、リモートで対応するという。 楽天は、さらに徹底しており、選手、監督は「ZOOM」を使ったオンライン会見で、“VIPルーム“に待機していた担当記者と、やりとりした。巨人なども、この方式を採用している。一切、接触を禁じるという徹底ぶりである。 横浜DeNA広報の説明によると、NPBが作成した80ページに及ぶガイドラインを基本線に独自の対応策を練ったという。早ければ、7月10日にも観客入れが始まる予定だが、その段階で取材人数の制限緩和も含めて、ガイドラインを見直す考えだという。 無観客試合のリハーサルを兼ねた練習試合には新型コロナと共存するためのプロ野球版「新しい生活」の姿が垣間見えた。選手や関係者の安全と健康を守り、たったの一人も感染者を出さないとの決意である。無観客開催がうまくいかなければ、その後の客入れにつなげることができなくなる。 試合後、ラミレス監督は、「シンプルにフィールドに帰って試合ができてよかった。いい気分でいます」と、野球ができる喜びをかみしめていた。 練習試合とはいえ、“プレ開幕戦”の黒星発進を阻止。しかも収穫があった。 先発の浜口遥大はウイニングショットのチェンジアップが冴え、3回を投げ1失点で5奪三振。3番で起用した新外国人オースティンも結果を出した。そのオースティンが加入したことで激しくなった外野の定位置争いでは桑原が同点2ランでアピールした。 「浜口の出来はよかった。53球を投げ5三振を取った。球種の使い方もよかった。オースティンは、練習試合の最初の6試合は3番で使うが、次の6試合では、他の打順も色々と試したい。開幕の打順はどうなっているかわからない。ここまでチャンスがなかった桑原がチャンスをものにしたのもよかったね」 ラミレス監督は、最後に、こんなメッセージを残した。 「ファンの方々には、長い間、待ち続けていただき感謝している。やっと試合ができるようになった。しっかりと準備をして開幕へベストを尽くす。いずれファンがスタンドに来れる時が、必ず来ると思うので、それまではテレビでエンジョイしてもらえれば」 手探りで新型コロナ時代の新しいプロ野球が始まった。