「不妊症の原因は女性だけじゃない」婦人科医が語る“パートナー2人で検査を受けるべき理由”
もしかしたら不妊症かも? 知っておきたいチェックリスト
編集部: 不妊症を疑った方がいいチェックリストはありますか? 干場先生: 当院では以下の点に当てはまる場合、受診の検討をおすすめしています。 ・女性 35歳以上 生理不順がある 卵巣の手術歴がある 子宮内膜症を合併している 骨盤内腹膜炎の病歴がある ・男性 射精障害がある 精液異常を指摘されたことがある 編集部: 医療機関では、どのようなことをするのでしょうか? 干場先生: まずは問診で病歴などを伺い、その後に医学的な評価や検査をおこないます。そこから不妊症の原因を特定し、それぞれに最適な治療法を見つけていきます。繰り返しになりますが「不妊=女性の問題」ではないので、男性側も受診しないと原因が特定できないケースもあります。 編集部: 女性側の不妊の検査では、何をするのですか? 干場先生: 一般的な検査としては、「血液検査」や生殖器の物理的な異常を調べる「内診・経膣超音波検査」、造影剤を子宮内に注入し、X線を使って卵管の通過性を確認する「子宮卵管造影検査」があります。造影剤を用いずに、生理食塩水を用いた通水検査で確認するクリニックもあります。あとは血液を採取して、排卵に関与するホルモンのレベルを測定する「ホルモン検査」です。ホルモン検査により、排卵障害の有無が判断されます。 編集部: 血液検査では、どのようなことがわかりますか? 干場先生: 例えば、甲状腺機能の数値に異常があるときは、流産や不育症のリスクが高くなります。また、血中のビタミンDは卵巣機能や着床率の向上、早産リスクの低下に関与しています。そのため、25OHビタミンD値を測定して、低い値が出た際はサプリメントで補う必要があります。加えて、血液中の「AMH」というホルモンの濃度から、女性の体に残っている卵子の数を推測することもできます。 編集部: 男性側の検査には、どのようなものがありますか? 干場先生: 男性の場合、感染症を調べるための採血と精液検査をおこないます。男性側で最も基本的な検査であり、精子の数、形態、運動性を評価することができます。また、一部の医療機関では、精巣の超音波検査をおこなうこともあります。