「ダラダラとスマホを見る」もすぐやめられる…24時間の生産性を最大限高める「タイムマネジメント」7大原則
■法則3 キリが悪いところで仕事を終えるのに慣れよう 一般に人間の集中力は深い集中で15分、ゆるい集中でも90分しかもたないと言われています。小中学校の時間割は1授業が45分で、合間に5~10分の休憩を挟みます。多くの場合、高校になると1授業は50分、大学になると90分に延びます。成長にともない集中力が伸びているという前提に立って設計されているのです。 ビジネスパーソンは定時こそ決まっていても、仕事の区切りは個人の裁量に任されています。多くの人が「疲れたら手を休める」「集中が切れたら一息入れる」というやり方で、休憩を取っているのではないでしょうか。 ですが、科学的なタイムマネジメントを志向するなら、時間を区切って休憩を挟み、脳の機能が回復したらまた集中するというリズムをつくったほうが、効率は高められます。 慣れない人がいきなり60分の集中を持続するのは、大変です。そこで最初は「ポモドーロ・テクニック」から始めてみることをおすすめします。イタリアの起業家、フランチェスコ・シリロ氏によって考案された時間管理術で「25分の作業と5分間の短い休憩」を1セット(1ポモドーロ)とし、4セットを終えたら15~20分の長い休憩を取る、という方法です。慣れるほどに1ポモドーロの集中力が高まる快感と、休憩時の爽快感がクセになります。 ところが、手がけていた作業が必ずしも25分で片づくわけではないでしょうし、キリのいいところで終われるとも限りません。未完了の事柄が気になってしまう心理現象を「ザイガルニック効果」と言います。 これを巧みに利用しているのがテレビです。番組への関心が高まってきたところで「続きはCMのあとで」としてブレークを入れると、視聴者の脳をリフレッシュできると同時に、CM中にほかのチャンネルに変えられてしまうのを防ぐ効果があるとされています。 仕事も同じでキリのいいところで休むのではなく、あえて「続きが気になるところで休む」のがいいのです。ちなみに、作家の村上春樹さんは、次の1行を思いついているところで筆をおくそうです。そうでないと、毎日文章を書き続けることはできないそうです。 ただし、休憩のあとに続きをやらず、まったく別の作業を始めると、やりかけの記憶がアテンション・レジデュー(記憶の残りかす)となり、作業効率が低下していってしまいます。できれば作業は一つずつ、直列式に潰していくのが理想です。 ■法則4 フィジカルを使ったオフで脳の疲労を回復しよう あなたは上司から「資料を作成して1カ月後に提出して」と言われたら、すぐに作業を開始しますか。「まだ日数に余裕がある。ぼちぼち情報を集めるか」と感じるのではないでしょうか。期日が2週間後(人によっては1週間後)と近づいてくる頃に、本格的にやる気スイッチが入るのです。 人はゴールが見えていると、本来の能力を発揮できます。意志の力だけでモチベーションを燃やし続けるのは大変です。多くの人は1カ月単位で仕事のスケジュールを決めますが、それはあくまで暦上の区切りです。行動計画は1~2週間単位で組んでいったほうが、よりリアリティをもって仕事に向き合えるでしょう。 とはいえ、どんな仕事も1~2週間で結果が出せるとは限りません。遅延が発生したり、ミスをして意欲がくじかれそうになったりすることもあるでしょう。そんなときに活力を与えてくれるのが、趣味や副業での活動です。 気分転換の効果だけではありません。仕事で達成感が得られないときでも、趣味や副業で進捗や成果があれば、脳は幸福感を得て仕事のモチベーションを維持できるという実験結果があります。アインシュタインも研究が行き詰まると、趣味のバイオリンを弾いて英気を養っていたそうです。 忙しいときこそオフを予定どおりに消化して、趣味や副業に没頭する時間を過ごすほうがいいのです。 ちなみにオフは週末と決めずに毎日の空き時間に入れてもいいですし、夢中になって、想定以上に時間を費やしてしまってもいいでしょう。「時間を忘れるくらいリフレッシュできたのだ」と、ポジティブに捉えましょう。 おすすめは、スポーツや農作業などフィジカルを使った活動です。「人は肉体が回復した割合でしか、脳の疲れも回復しない」とも言われており、肉体を疲れさせないと、脳の疲労も回復しないのです。 人間の歴史において「肉体を消耗していないのに、脳だけが疲れている」状態が日常化したのは、頭脳労働者が増えたここ100年余のことです。狩猟でも農耕牧畜の生活でも、労働者はつねに肉体の疲労が頭脳のそれを上回るのがあたりまえでした。ゆえにぐっすりと眠って肉体が回復しないと、脳もすっきりしないのだという理屈です。 朝の通勤通学でビジネスパーソンが「睡眠時間は十分なのに疲れが残っている」と表情を曇らせる傍らで、公園を駆けずり回って疲れはて、泥のように眠った子どもたちが元気溌剌ではしゃいでいるのを見ると、さもありなんと思います。 頭脳を使ったら肉体も同じように動かして、バランスの取れた状態で眠りに入る。ストレス解消や健康維持にもつながり、プラスの効果しかありません。ぜひお試しを。