「ダラダラとスマホを見る」もすぐやめられる…24時間の生産性を最大限高める「タイムマネジメント」7大原則
■法則7 ハードルをコントロールして集中力を高めよう 集中力を高めるには、いくつかのコツがあります。 たとえば、デッドラインを意識するのも一つです。それは単なる「締め切り」ではありません。「ここを過ぎると多方面に迷惑をかけ信頼を失い、職業人として死に匹敵するダメージを負う」という、文字通りの「deadline(死線)」です。迫りくる恐怖はいやが上にも集中力を高めます。 あるいは、自分の能力とタスクの難易度を調整し、集中力を最大限に発揮する「フロー状態(flow state)」をつくり出して没入する方法もあります。 人は自分の能力と比較して、タスクの難易度が低すぎると興味や関心を失います。逆に高すぎると不安に陥り、戦意を喪失してしまいます。「相当にチャレンジングだが、やってやれないことはない。ベストを尽くせば達成できそう」なタスクだと、闘争心に火がついて集中力が高まります。 難易度が低すぎる場合には「この作業を最短時間で終わらせよう」などとあえてハードルを設定し、難易度が高すぎる場合には達成可能かつ具体的なタスクに分解して、一つずつクリアしていくスケジュールを組みます。 他者の目を意識するのも効果があります。子どもの「遊び方」に関する観察実験では、親が見ているところでは危なっかしい挑戦(高い木に登るなど)を繰り返すのに、親の目がないところではリスクのない行動に終始する傾向が確認されました。 信頼する上司が見てくれている、いざとなったら仲間がサポートしてくれる心理的安全性がチャレンジへの意欲を駆り立て、集中力を高めてくれます。 集中力は筋力に似て、鍛えることで高められることがわかっています。最初はキツく感じますし、かといって使わなければ衰えていきます。集中力がまったくない人はいませんが、何にでも集中力を発揮できる人もいません。何に集中する訓練を積んできたかで、違いが出ているにすぎません。 しかし、現代人は全般的に集中力が低下しているとも言われます。DX(デジタルトランスフォーメーション)により複雑な作業が減り、興味や関心の向くままに要望が満たされるようになったことで、注意が継続せず集中力がどんどん衰えているようです。 今こそ集中力を鍛え、時間の密度を高め、充実した人生を取り戻さなければいけません。訓練を重ねた先にこそ、成長の実感と充実した幸せな日々が待っています。 ※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年11月15日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 池田 貴将(いけだ・たかまさ) オープンプラットフォーム主宰 リーダーシップ・行動心理学の研究者。早稲田大学卒。在学中に渡米し、世界No.1コーチと呼ばれるアンソニー・ロビンズ本人から直接指導を受け、そのノウハウを日本のビジネスシーンで活用しやすいものにアレンジ。感情と行動を生み出す心理学と、人間力を高める東洋哲学を統合した独自のメソッドが注目を浴び、そのセミナーはコンサルタントやビジネス作家などのプロも受講することで広く知られている。 ----------
オープンプラットフォーム主宰 池田 貴将 構成=渡辺一朗