若者と接しても「無理に合わせない」のが大事。北村一輝さんに聞く、世代間コミュニケーションのコツ
北村:愚痴をこぼすお客さんに対し、学の役割はじっとそこにいて、話を聞いてあげること。 学はただ話を聞いているだけで、反論もしなければ、正解を出すこともしません。これってある種、カウンセリングに近いものだと思っていて。思っていることをありのまま話して、ひたすら聞いてもらう場所は、このドラマの中だけに限らず、誰にとっても必要なのではないかと考えています。 ぜひ「おっちゃんキッチン」を見ながら、人の愚痴を聞いて「そうだよね、わかる」なんて、ご自身の普段言えない愚痴と重ねていただければいいなと思います。
下の世代と接するときも「価値観は変えない」。お互い無理に合わせようとしないことが大事
――「おっちゃんキッチン」に登場するお客さんは主に、「世代間コミュニケーション」のギャップによって生まれる不満について語っています。北村さん自身は、年が離れた相手とのコミュニケーションをする上で心がけていることはありますか? 北村:お芝居の現場では、今や10代の子などすごく若い世代の人たちがあふれていますから、僕自身も年が離れた方たちと接する機会が多くあります。そこで気をつけているのは、あえてそこまで相手に合わせようとしないこと。 僕が若いときは、上の人が魅力的に映っていて、そこから学びを得ようと先輩たちに合わせていました。自分たちには自分たちの時代なりの楽しさがありましたが、今はそういう価値観も変わってきています。だからこそ、逆にそこに合わせる必要もないのかなと。わからないことはわからないですから。 同じ「お芝居」というテーマの中で、共通認識のある話題はしますが、価値観に関しては一切変えていません。
――あくまでも自分の姿勢は変えないと。 北村:はい。反対に、若い世代が僕たちに合わせることもないと思います。どんどん自分たちのやりたいことをやってほしい。 みんなバラバラで違うところはあるけれど、年齢や性別というくくりではなく、お互いの良いところを認め合ってリスペクトすれば無理に合わせることもないと思います。