「料理とは、自分の人生そのもの」ーー主婦目線の「おいしい」をとことん信じる、栗原はるみの流儀
自分のやりたいこと、そして夫がやり残したこと。生のある限り、とことん実現しようと決めたら、力がみなぎってきた。好きなものをモリモリ食べ、大好きなミュージシャンの音楽を聴いて、日々の仕事に邁進する。 「寂しいところには、行かないように気をつけてるからね。最近少しずつ、自分自身の癒やし方がわかってきたかな。新雑誌も始まったし、新しい友達もできたりして、元気が出ますよね。やっぱり、いくつになっても出会いって大切なのよ。私は、基本的にポジティブで、ネガティブシンキングは、好きじゃない。もちろん、嫌なことだって、たまにはありますよ。だけど、毎日楽しく暮らすって、本当に大切。嫌な方向に考えが傾きそうになったら、自分で戻すの。夜寝るときに、『今日もよかったな』って思えるのが、いいよね」 最後に「あなたにとって、“料理”とは」という質問をすると、栗原は悩むことなく、笑顔で答えた。
「料理とは、自分の人生そのもの。この仕事をして本当によかった。専業主婦だったから、母と夫以外、誰にも料理を学んでいないじゃない? それでも、料理に対してはいつでも真摯に向き合ってきました。家族やファンの皆さんに喜んでもらう、そういう気持ちももちろんありますけど、最後にはやっぱり“自分のためにやること”なんですよね。どんな仕事もそう。いいことも、つらいことも、いろんなことが人生には起こるけれど、すべては自分のため。その気持ちが、すごく強い」 生涯現役で、料理家を続ける。栗原はそう宣言した。 輝きを取り戻した栗原の姿に、天国の夫も目を細めているに違いない。
--- 栗原はるみ(くりはら・はるみ) 1947年、静岡県下田市生まれ。料理家。1973年、元キャスターの栗原玲児と結婚。著書『ごちそうさまが、ききたくて。』(文化出版局)がミリオンセラーに。1994年「ゆとりの空間」創業。多数のレシピ本に加え、パーソナルマガジン『栗原はるみ すてきレシピ』『haru_mi』(扶桑社)は長く愛され、著書の累計発行部数3100万部を突破した。2005年2月、第10回グルマン世界料理本賞でグランプリおよびアジア料理部門グランプリを受賞。長男・栗原心平、長女・栗原友はそれぞれ料理家として活躍している。3月4日、新雑誌『栗原はるみ』(講談社)を創刊。