ゲームで遊ぶ時間を自制できるのは25歳から...子どもがゲーム依存にならない工夫とは?
デジタルデバイスを適切に使う教育に変化
ひとし:なるほどね。じゃあどういう補助輪がいいんだろう? はるか:そこで、今回はデジタルシティズンシップ教育(※5)の考え方を紹介したいと思います。 ひとし:デジタルシティズンシップ……? はるか:シティズンシップは「市民権」の意味。これまでは、ゲームとかデジタル分野に関する教育って、「情報モラル教育(※6)」と呼ばれるものが主だったんです。「モラル」だから、心へのアプローチですね。たとえば「ゲームをしすぎると成績が下がるよ」とか「SNSに写真を投稿すると悪用されて大変なことになっちゃうよ」とか、すごく怖いことだと植え付けて、なるべく遠ざけようとするようなものでした。 ひとし:なんか薬物防止の授業みたい。 はるか:あ、そうそう! あれに近い指導が主だったんです。 でも、今は1人1台タブレットを持っている時代です。ほぼ全員がスマホを持っているし、子どもたちがデジタルデバイスを使うのは、もう変わることのない大前提。むしろ、積極的に活用しなきゃいけません。だから、子どもが自立して適切な使い方ができるように教育していきましょう、という方向性に変化していってるんだよね。これが、デジタルシティズンシップ教育の考え方です。 ※5 デジタルシティズンシップ教育:デジタルシティズンシップとは、デジタル技術の利用を通じて、社会に積極的に関与し、参加する能力のこと。デジタルシティズンシップ教育は、デジタルの利活用を前提とし、それを叶えるための能力や行動規範を学ぶための教育。 ※6 情報モラル教育:情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度を育むための教育。日本の学校教育では、2008年告示の小、中学校の学習指導要領の改訂によって本格的に開始された。
利用しない時間と場所を決めてみよう
ひとし:じゃあ具体的にこのお悩みの場合とかだと、どんなことをしていけばいいの? はるか:このお子さんみたいな状況にあるとき、僕がこんな話をすると、最初はみなさん「利用時間を決めよう」とされます。 ひとし:俺もまずはそこかな、と思った! はるか:そうだよね。だけど、これかなり難しい。お悩みにも書いてあるけど、友だちと通信してたりする場合もあるから「キリが良いところまで」とかってなりやすいんだよね。 ひとし:あぁ、「あと30分だけ!」とか「このステージクリアするまで!」とかありそうだね。 はるか:そうそうそう。しかも、管理する大人側も、ずっと時間を計っとかなきゃいけないとなると大変です。だから、利用時間を決めるよりも、「利用しない時間と場所を決める」のがいいと思います。 ひとし:「22時以降はゲームやめようね」とかそういうこと? はるか:そう! そして、ここで大事にしてほしいことがあって。前にアドラー心理学の「論理的結末」の話をしたと思うんだけど、覚えてる? ひとし:えーっと、注意する理由を論理的に説明したり、子どもも納得できる正しい約束の仕方が大事って話だった、よね? はるか:素晴らしい! それをここでも活用してほしいんです。まずは「なぜゲームをしすぎると良くないのか」ということを論理的に伝えてください。たとえば「寝る前にブルーライトを浴びると睡眠の質が落ちて、身長が伸びにくくなったり、勉強が身に付きにくくなったりするんだって」とか。そして、「だから一緒に利用しない時間を決めよう」と、子どもと一緒にルールを決めましょう。さらにルールを守れたかどうか、毎回ふり返っていけたらすごくいいです。 ひとし:なるほど。その「一緒に決める」っていうのがポイントだったよね。 はるか:そうそう、大事! あとは場所を決めることも大事です。子どもが自分の部屋にゲームを持っていけるようにすると、いつまでもやっちゃうから。なので、たとえば「ゲームはリビングに置いておいて、そこで使う」ってあらかじめ決めておく。そうすれば、親御さんも一緒に「利用しない時間」を守れているか確認できます。 ひとし:なるほど。ぜひこの方にも実践してみてほしいね。 はるか:ただ、もちろんすんなりうまくいくわけはなくて。「なんで守れんと?」「自分で言ったやん!」ってイライラすることもあるだろうし、実際叱ってしまうこともあると思います。 だけど、あくまでも最終的な目標は「自分でゲームやスマホの使い方をコントロールする力をつけること」。しかも、これはお子さんも親御さんも共通の目標です。なので、そこを見失わずに、なかなかうまくいかなくても、二人三脚で対話を重ねながら良い使い方を探っていってほしいなと思います。
はるか先生のワンポイント
ゲームやスマホの使い方を、子ども自身でコントロールすることは不可能! 論理的結末を用いて、「なぜダメなのか」と「ルールの設定」を話し合おう。
福田遼,秋山仁志(子育てのラジオ「Teacher Teacher」MC)