防衛医大看護学科に首席で入学もパワハラで退職…元自衛官が「セクシー女優」に転身してわかったこと
’20年8月に世田谷区の陸上自衛隊衛生学校にて「BOC(Basic Officer’s Course、看護官幹部初級課程)がはじまって、自衛隊の衛生科幹部としての基本について学ぶために上京した直後から、都内随一の風俗街、吉原のソープランドで勤務を開始した。 「体験入店の日からお客さんをつけてくれて『門限があるので早めに帰らなければいけない』みたいな話をしても『お金、足りる?』と言ってお金を多めに渡してくれました。純粋に売り上げの世界ですし、秘密もしっかり守ってくれましたので、理不尽な自衛隊の環境にいた私としては新鮮でした」 ◆「性を売る仕事」が救ってくれた 吉川さんは「お金のために仕方なく」という感覚ではなく、むしろ「救ってもらった」という感覚さえあったという。 「性を売る、という仕事に対して批判的な見方があるのは承知しています。ただ私は学ぶことが多かったし、自分自身を作ってもらった、という感覚さえあります。 自分のコンプレックスと向き合って、そんな自分を自己受容した上で相手の方のことも受容するとギクシャクしなくて、相手の方も満足した表情で帰っていくんです。それができないときは『私がまだ未熟なんだ』みたいに思っていましたので、満足を売る仕事をしている以上、続けて指名してもらえるよう、自分磨きをしていました。それは本来、看護師である自衛官ですべきだったのですが、私はとてもそれができる状況になかったのです」 自衛隊衛生学校で学ぶ合間に吉原で働く生活を終えると、九州に戻り、看護官として勤務しながら、九州最大の繁華街「中洲」の風俗店でも働きお金を貯めた。2年間風俗で働いて稼ぎ出した400万円で償還金を支払うことができ、自衛隊を離れることができた。3年間働いた自衛隊の退職金は50万円ほどだった。 その後も九州に残り風俗の仕事を続けていたが、上京すると渋谷でAV女優としてのスカウトを受ける。蒼井そらなど、有名女優を輩出する事務所だったため、デビューすることを決めた。 デビュー作は’23年4月28日に『藤本香澄』の芸名でリリースされた。出演料は40万円ほど。「企画単体」のため安いこともあるが、30年前の約3分の1ほどの額だ。今のAV女優の出演料はかなり安く、作品によっては1回の出演料が8万円程度、男優であれば5万円が相場だ。 もし自衛隊の看護官を続けていたら、27歳になるまでに3等陸尉、2等陸尉と階級が2つも上がることもあり、賞与や手当も含めて推定年収550万円を手にしていたことだろう。それでも吉川さんは若い人に、自衛隊の看護官になることは薦められないという。