防衛医大看護学科に首席で入学もパワハラで退職…元自衛官が「セクシー女優」に転身してわかったこと
しかし、自衛隊福岡病院に勤務して2年目の’20年、新型コロナウイルスの感染症拡大に伴う病棟再編が行われ、そこで「大卒イジメ」に直面してしまう。自衛隊病院の看護師新人教育制度も他の病院同様、先輩看護師が新人看護師に対し1対1で指導・教育する制度がとられていた。 「体力もメンタルもキツかった。看護技術の習得に加えて、レポート提出などもあり、心身ともについていけなくなりました。やるべきことが次から次に湧いて出てくる状況に陥って、よくわからないけど涙が止まらない時もありました」 ◆400万円を払わないと辞められない 看護の仕事は覚えることがたくさんある上に厳しいことは納得していたが、「(コロナ禍に病棟再編も加わり)仕事の残業が多かったことや同期にいじめっ子気質の子もいたりして、ストレスがかかる環境だったんです」という。 一時、適応障害に陥ってしまった吉川さんは夜勤のない発熱外来に異動となったが、そこでパワハラが横行する環境に出くわす。 「たとえば私が担当していた患者さんが、何の申し送りもせずに、いつの間にか別の部屋に移されていて……。患者さんは私を探し出すし、他の看護師からは『今、何しているんですか?』と問いただされて……。その後、何とか患者さんを見つけて私が記録を書きました。 当時いた先輩の看護師の方と私の仲が悪かったことが原因で起きたことだとは思いますけど、他の病院であれば(患者さんを危機にさらした先輩の看護師が)場合によってはクビになることもある案件です。でも自衛隊の場合は『一日でも先に入隊した人が(資格や能力が無くても)偉い』という絶対的な価値観があって、この件で言えば先輩の看護師と仲を悪くしていた私のほうが悪い、という空気だったんです」 理不尽な境遇に置かれた吉川さんは当時の状況や自分の心境について、さらにこう続ける。 「怒られるにしても自分の成長のために厳しく叱られるのであれば納得できましたが、ただストレスのはけ口にされているような感じがしました。キツイ仕事は若い人たちに押し付けるということも半ば当たり前のようになっていて……。先ほど話した患者さんを突然、別の部屋に移した話を含め、組織のためにも患者さんのためにもならないようなことが起きていたことに、嫌気がさしました」 看護師になって2年目で退職を決意した吉川さんだが、一般企業とは大きく違う問題が発生した。防衛医科大を卒業後、6年以内に自衛隊を退職した場合、学費の返金義務が発生する。吉川さんの償還金は400万円で、規則上退職した翌月に原則、一括で支払うことが求められ、分割で支払うとしても2回程度。年利も14.5%と高かった。どうやって支払うのかと途方に暮れた。 「最初、アフィリエイト(成果報酬型広告:定期定額収入ではないため『無許可兼業』に該当しない)などで稼ぐ方法も考えたんですけど、お金が入ってくるまでの時間、労力がかかってしまいそうだと考えてやめました。(無許可兼業になるので規則違反とは知りながらも)稼げる、という点では“夜のお仕事”が一番で、現金日払いの風俗が私にとって一番よかったんです」