第164回芥川賞受賞会見(全文)宇佐見りんさん「ただひたすら目指すものを書いていく」
診断名を書かないという判断へのこだわりは
ニコニコ動画:ご受賞おめでとうございます。 宇佐見:ありがとうございます。 ニコニコ動画:ニコニコ動画の【タカハタ】と申します。ちょっと恒例の質問なんですけれども、ニコニコ動画はご存じでしょうか。 宇佐見:知っています。「踊ってみた」とか見るのが好きです。 ニコニコ動画:ありがとうございます。では、ユーザーの皆さんから来た質問を代わりに読みますので。 宇佐見:ありがとうございます。 ニコニコ動画:ご回答をお願いいたします。広島県、20代、性別の回答はなしのユーザーの方からの質問です。主人公についての描写で、病院の受診を勧められ、2つほど診断名がついたというのが印象に残りました。ここでは診断名を書かないという判断をされていると思うのですが、どんなこだわりがあるのでしょうか。編集者と相談をしたりするのでしょうか。という質問です。 宇佐見:ありがとうございます。私としても悩んだところなんですよ。結局、この選択をしたのは、ただ病院に行くという話、くだり自体をなくしてしまうこともできたんですよね。なんですけど、現代でいえばそれが自然といいますか、そういうことが周知されてきて、環境によりけりですけど、そういうふうに診断するというくだりがあるのは自然だろうと思って入れて。 明記しなかったのは、いろいろな、複合する、二次的なものとかがあったりするんですよね。うつ病を併発するであるとか。そういうことを、ただ作品をそれで区切ってしまうのは違うんじゃないかなっていうふうに。もっと、何か違うものとして捉えてほしくなくて、読者の方、読んでいただいた方に、もっと近いものとして感じていただきたかったっていうのはありますね。ただ、すごく悩んだところです。 ニコニコ動画:ありがとうございます。 司会:ありがとうございます。じゃああと2媒体とさせてください。一番奥の、はい、お願いします。