森会長、東京五輪「憶測で論じるのは時期尚早」 組織委が「簡素化」など3原則示す
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は10日夜、国際オリンピック委員会(IOC)理事会後に記者会見を開き、来夏に延期となった東京大会の開催に向けた基本原則やロードマップを発表した。大会準備は「延期に伴う費用を最小化する」「大会を簡素なものとする」など3つの基本原則に沿って進めるとし、会見した組織委の森喜朗会長は「安全で安心な大会実現に向けて努力していく」と述べた。中止論など大会開催をめぐる憶測については「時期尚早だ」とくぎを差した。 【動画】東京五輪の「簡素化」は? IOC理事会後に森喜朗会長ら会見
簡素化の具体的な議論は「これから」
「史上初の延期で、世界の経済、社会、医療の新たな状況を踏まえ、大会計画をどう見直し、大会をどう位置づけるかがテーマだった」。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で延期となった東京大会の位置付けについて、森会長は会見でこう語った。 組織委の発表によると、2021年に開かれる「東京2020大会」は、世界に復活・復興の証を示すものとなるだろうと宣言。開催に向けた準備は以下の3つの基本原則に則って進めるとした。 (1)選手、観客、関係者、ボランティア、大会スタッフにとって、安全・安心な環境を提供することを最優先課題とする (2)延期に伴う費用を最小化し、都民・国民から理解と共感を得られるものにする (3)安全かつ持続可能な大会とするため、大会を簡素(シンプル)なものとする 競技と選手については基本を維持するとし、サービス水準の見直しを含む効率化や合理化で「簡素な大会」を目指す。具体的には、▽選手や観客を除く大会関係者に東京大会への参加削減を要請▽全ての分野を対象に効率化・コスト削減を検討▽会場ごと・関係者ごとの検証に基づくサービスレベルの見直し▽大会関連イベントの再検討、など。 森会長は「コスト縮減は重要であり、延期の影響についてIOCと日本側が共同で評価と議論を行う旨を確認するとともに、IOCに最大限の支援をお願いした」と強調した。 会見に同席した武藤敏郎事務総長は「IOC理事からは基本的な方針について賛同を得た」と報告。「大会を華美なものとせず簡素なものにする」「簡素化にはあらゆる大会関係者と一体となって計画を見直すことが必要」だと述べた。 ただ簡素化の具体的な内容については、聖火リレーは見直しの対象になるとしたものの、「具体的な事例はまだそこまで検討していない。いまは簡素化に向けたサービス水準の見直し項目の洗い出しをしている」と述べ、今後の議論になるとした。 簡素化を目指す東京大会は次回大会以降のモデルとなり得るかと問われた森会長は「これからの五輪のあり方は『こうだ』と大上段に構えているわけではない。新型コロナウイルスでは多くの犠牲者も出ている。従来のような華美なお祭り騒ぎが共感を得られるか考えないといけない。結果的に『正しい五輪だったね』と評価してもらえればいい」との認識を示した。