「ダンディ」は西洋では死語 写真集名を「JAPANESE DANDY」にした理由
美意識の向こう側に人の本質が透けて見える。写真集「JAPANESE DANDY(ジャパニーズ ダンディ)」(万来舎)の約2年半ぶりの続編として今年5月に発売された「JAPANESE DANDY Monochrome(ジャパニーズ ダンディ モノクローム)」を一言で言い表すなら、そういうことになる。いずれもファッション界の枠を超えて話題を呼びつつある。 フラワーコーディネーターでファッション書籍プロデューサーの河合正人氏がディレクションまで手がけ、撮影は故・尾崎豊さんなどミュージシャンの写真で知られる写真家の大川直人氏。カッコいい男になりたい。おしゃれをしてみたい。いい男を見てみたい。そう思う人たちにとって必携の作品。河合氏に聞いた。
「カッコいい男たちの写真を撮りたい」それが動機
モノクロームはA3変型判と大型化。所有感を満たす大型の写真集。被写体である170人の男性は、しっかりと仕立てられたテーラードスーツをはじめ、自らのスタイルでカメラの前に立っている。その圧倒的な存在感。しかしプロのモデルは一人もいない。市井の人ばかりをキャスティングしたのは前作「JAPANESE DANDY」から守り続けるコンセプトだが、そこに意味がある。 「カジュアル全盛の昨今ですが、電車に乗ればスーツを着たサラリーマンがいっぱい。けれど果たして皆さん、楽しんで着ているのかといえば疑問です。スーツやジャケットをおしゃれに楽しんで着るという意味では、この写真集に出ている人たちは絶滅危惧種的な存在。その姿を写真にとどめておくことは、将来、資料としての価値も出るのでは、と」 河合氏は1958年生まれ、最後のアイビー世代。中学から服に興味を持ち、アイビーからファッションが好きになったという。写真集作りの動機は、いたってシンプルだ。 「30年前ほど前に独立してから、いろいろな方と知り合いました。あるとき、こういう人たち、かっこいい人たちの写真を撮りたいなと思ったんです」 最初は周囲の人に声をかけ、「一人ずつお会いして撮影のコンセプトをご説明しては口説いていった」。写真家の大川氏とは、コダックのフィルムで1年かけて撮影した花の写真集「FLOWERS」以来の共同作業。1日に撮影できる人数は1~2人。結局、2年半かかった。