NEWS加藤シゲアキ直木賞は? 作家デビュー9年、少年期から好きだった文学
20日選考が行われる第164回直木賞で、ジャニーズ事務所のアイドルグループ・NEWSのメンバー、加藤シゲアキ(33)の作品「オルタネート」がノミネートされ注目を集めている。SNS社会の高校生たちを主人公にした青春群像劇で、オルタネートとは作中に登場する高校生限定のマッチングアプリの名称だ。加藤は作家デビューして9年になり、アイドル活動のみならず作家としての作品執筆にも本気で取り組んできたという。
少年期から小説好き サリンジャーらの影響受けた
2015年に「火花」で第153回芥川賞を受賞した又吉直樹をはじめ、文学に力を注ぐ芸能人は少なくないが、加藤もその一人。2012年1月に長編小説「ピンクとグレー」で作家としてデビュー。ジャニーズ事務所に所属するアイドルが小説を出版するのは初のケースで、当時メディアでは「加藤シゲアキが直木賞アイドルを目指す」などと話題になった。同作は、芸能界デビューを機に成功と挫折という正反対の道を歩むこととなった2人の青年の葛藤と生き様を描く青春小説で、コミック化、映画化も実現した。 「作家デビューする芸能人の多くはそうなのですが、加藤さんもアイドルになる以前からもともと文章を書くのが大好きで、芸能界入りしてからもエッセーなどを書く力に定評がありました。少年期から海外の作家の作品などを読んでいたようで、過去、又吉さんも出演した番組でもっとも影響を受けた作品に、読んだ当時の自分にあてはまっていたとしてサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』を熱く紹介したこともあります」(テレビ情報メディア30代女性編集者) 加藤は2013年11月に第2作「閃光スクランブル」、2014年に第3作「Burn. -バーン-」を発表。ここまでの3作品は東京の渋谷や芸能界を舞台としており、「渋谷サーガ」と称されている。その後、2015年に短編集「傘をもたない蟻たちは」、2017年に新宿を舞台にしたミステリー「チュベローズで待ってる【AGE22・AGE32】」と、作家としての幅を広げキャリアも着実に積み上げてきた。 今作「オルタネート」は、SNS社会に生きる高校生たちが翻弄されながらも自身の内面を見つめる大切さに気づき成長していく姿が描かれている。もちろん作品にとって賞がすべてではないが、果たしてジャニーズの現役アイドルの直木賞受賞はなるか、否応なしに注目が集まる。 (文:志和浩司)