中絶に収入依存した医師が女性器の美容整形に流れる…赤裸々な"施術メニュー"に見る女性の悩みと倫理問題
■第二の問題:「直美(ちょくび)」問題 経口中絶の薬事承認をきっかけに、今後の中絶需要や人口減少なども視野において一部の人が女性器整形へ舵を切ったとのだろう。特に、近年急速に需要が拡大し、高収入を得られる分野として医師たちを引きつけているのが美容整形であり、そのパーツのひとつの女性器も含まれる。 現在、国内では才能ある医師の人材流出と医師育成コストの損失が問題化している。日本でひとりの医師を育成するための費用は1億円を超えるとも言われているが、医師免許を取得し2年の研修を終えた直後に都市部の美容外科に就職する医師が増加しているという。医師が不足しているのは地方であり、内科、外科、小児科、救急救命といった命に関わる診療科である。 筒井冨美医師が執筆した過去記事「『ヒヨッコ医師でも年収2000万円超』美容外科クリニックに腕利き外科医や有望新人が年200人流出の国家的危機」(プレジデントオンライン、2024年9月12日配信)によると、医師国家試験合格者は2年間の研修を受けた後、専攻の診療科に進むのが通例だが、美容外科クリニックに直接就職するケースが年200人出ているそうだ。この現象は「直美(ちょくび)」と呼ばれ、深刻な問題になりつつある。なぜなら、日本における医師の人材不足を加速させるだけでなく、医師を育てる国の支援の無駄遣いにもなっているからだ。 なぜ、流出するのか。筒井医師は、原因は一般病院の医師の待遇や労働環境が悪く、一生懸命治療しても患者や家族から感謝されず、医師たちがやりがいを失っていることだと説明している。前出とは別の筆者の知人も「直美医師」として美容皮膚科クリニックに長年勤務し、「レーザー施術しかできない私は自分を医師と呼べるのだろうか。しかし今さらやり直しも難しいし……」と心情を吐露した。 「直美」に走る医師を批判するのではなく、医師の労働環境を改善し、やりがいを感じられるような働き方やキャリアの再構築ができるような仕組みを作らなければいけないのではないだろうか。