「努力の仕組み化」に挑戦 楽器の反復練習は毎日続けられたのか?
「自分は意志が弱いから何事も長続きしない」「努力するには特別な才能が必要、だから自分にはできない」…そんな“言い訳”を口にしながら「努力」を諦めてしまっていませんか? 実は、行動経済学の力で努力を続けることは可能です。詳しくは新刊『努力は仕組み化できる 自分も・他人も「やるべきこと」が無理なく続く努力の行動経済学』(山根承子著/日経BP)をお読みいただきたいのですが、ここでは同書の編集者2人が挑んだ「努力の仕組み化実験」をリポートします。自ら設定した課題を1カ月間続けることはできたのか? やってみて実感した継続のコツや課題とは? 新刊著者・山根承子さんの講評&アドバイスとともにお届けします。まずは「楽器の練習を毎日続けたい!」編です。 【関連画像】(写真:Laura Primo/stock.adobe.com) ●「好きだけど、上達のための反復練習はつらい」という本音 反復すればするほど、回数を重ねれば重ねるほど上達するスキルがあります。例えば「文章を書くこと」や「仕事の段取り」もその1つでしょう。あるいは、家庭生活の中でも「料理」や「掃除」をはじめ、繰り返すほどにうまくできるようになることはたくさんあります。 今回、新刊『努力は仕組み化できる』の編集を担当し、「本当に努力は仕組み化できるのか」を検証するに当たって努力の対象を考えたとき、まず基準としたのが、「反復によって上達することにしよう」ということでした。 好きなことであっても、上達のために反復練習するのはつらい。きっと多くの方が、同意してくださるのではないでしょうか。 登山は好きだけど、そのための体力づくりはつらい。 海外旅行は好きだけど、そのための語学習得はつらい。 「好きだけど、反復練習はつらい」と聞いて、思い当たることがある方も多いはずです。私自身、上達のための反復練習ができずに挫折した経験が、幾つも思い浮かびます。
見て見ぬふりをしてきた「努力のチャンス」
今回、私が選んだ努力は、「クラリネット」という楽器の練習です。童謡「クラリネットこわしちゃった」で有名なこの楽器は、細かく指を動かす滑らかな演奏を求められることが多くあります。 ピアノや電子オルガンを習ったことのある方ならピンとくるかもしれませんが、この手の楽器を上手に演奏するために不可欠なのが、「指練習」です。うまく演奏できない箇所を、できるようになるまで繰り返す。単純ですが、大変な努力が求められます。 今回の書籍の発売(2024年8月)を待つまでもなく、努力(練習)すべきタイミングはこれまでもずっとありました。 楽譜は、半年以上前から手元にあります。何度も合奏に参加していて、その合奏の中で思うような演奏ができなかったことから、自分に「指練習が必要である」ことは分かっています。さらにいえば、演奏会は今年の9月で、日一日と迫ってきています。 でも、指練習は正直、面倒臭い。だって忙しいし、別に今日やらなくても…。明日からだっていいのでは? こうして「努力のチャンス」を逃し続けてきたわけです。我ながら、いかにも「意志の弱さ」を感じずにはいられません。