体操の内村航平が引退会見(全文2)オリンピックは自分を証明できる場所だった
なぜゾーンが生まれたのか
TBSテレビ:TBSの【伊藤 00:37:27】と申します。TBS、連投で申し訳ありません。2011年の世界選手権の、今まで感じたことがないゾーンと先ほどおっしゃってましたが、今振り返って、なぜそのゾーンが生まれたのか、教えていただけますか。 内村:人生で一番、心技体がそろっていた時期なのかなと思っています。練習量もそうですし、練習の質もものすごく高かったし、メンタルもあのときが一番強かったかなと思うし、痛いところもまったくなかったし、自分は何をやってもできると思っていた時期だったので。でも、やっぱり一番の要因は、世界で一番練習をしていたからだと思っていますね。 あと、自分の演技、体操に対してものすごく自信を持っていたので、失敗する気がしないとか、そういう次元ではなく、この場をどう楽しもうかっていう、もう強さとはかけ離れたというか、自分1人だけが楽しんでいるみたいな状況だったので、それが強かったのかなと思いますね。でも、そのあとも、その翌年にロンドンオリンピックがあって、そこでそのゾーンを再現したいな、なんて思っていましたけど、ゾーンは再現できるものじゃないし、自分から狙ってやれるようなことじゃないんだなっていうのをそこで感じたので、あれを1回経験できただけでも、人間をちょっと超えれたんじゃないかなと僕は思っています。ゾーンの話すると、たぶん3日ぐらい寝ずに話し続けちゃうので、ここでやめておきます。 TBSテレビ:ありがとうございました。 司会:ありがとうございます。ほかにご質問、ございますか。じゃあ、青いパンツの女性の方ですね。
現役引退発表にいたった経緯は
毎日新聞:毎日新聞の円谷と申します。競技生活お疲れさました。ありがとうございました。これまで取材している中で、何度か引退っていう言葉について、そういう引退っていう形を取る必要あるのかな、とか、引退だけが終わり方じゃないんじゃないかっていうお話も何度か伺ったんですけど、今回、この、形としては現役引退っていうものをはっきりさせて発表されるっていうことを決意した、その経緯というか、なぜそこを決められたのかっていうのをちょっと、あらためて伺いたいのと、もしかしたら現役を引退しても体操との関係っていうのが続いていくっていう何か、思い当たるものがあったのかとか、ちょっとそういった部分をあらためて教えてください。 内村:現役引退という定義がなんなのかっていうのを自分なりに考えたときに、やっぱり試合に出ない、競技者じゃなくなるっていうところなのかなっていうふうに思ったので、競技者じゃなくても体操は続けられると思ったので、だったら、競技者じゃなくなったのに、現役引退を表明しないでいるのも、世の中的にもそうですし、自分としてもはっきりしないな、みたいな感じになってしまうのではないかなと思ったので、こうして1回、競技者としては、1回身を引きますというのを発表したほうがいいんじゃないかなと思ってやりました。 だから、競技者ではなく、演技者としてやっていくのもいいんじゃないかなっていうか。今後、進んでいく中で、いろいろなことをやっていくと思うので、果たしてずっと体を動かし続けていくのか、それとも、その中で、やっぱりこういうことが面白いから、こっちにいってみようって思うこともあると思うので、取りあえずは決めずに、体が動くまでは動かし続けたいなっていう気持ちがあるので。でも、もう試合に出ることはちょっと厳しいなと思ったので、こういう決断をしました。 司会:はい。ありがとうございます。 毎日新聞:すみません。もう1個だけいいですか。 司会:はい。