ユナイテッドアローズ松崎善則社長「若者に選ばれる企業に、新販売員評価制度も導入」
グローバル展開加速、日本と中国の違い
―昨年は中国の上海と北京でポップアップを開催されたのも印象的でした。反響を含めてどのように総括されていますか? 想定通りの好反応を得られました。ベーシックカラーで強いトレンド性が色濃く出ていない商品が我々の強みではありますが、中国では色やデザインにトレンド性がないと支持を得られにくい。難しくなるだろうとわかりつつも、まずはベーシックアイテムの打ち出しにトライしようということで、6月に開いた上海のポップアップでは、ユナイテッドアローズと「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ(BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS)」のメンズとウィメンズのオリジナルをそれぞれ持ち込みました。しかし仮説どおり、反応があまり良くなったので、途中で「ユナイテッドアローズ&サンズ(UNITED ARROWS & SONS)」のストリート寄りのアイテムや、「エイチ ビューティー&ユース(H BEAUTY&YOUTH)」のオリジナル、あとは「6(ROKU)」や「ロエフ(LOEFF)」といった社内ブランドでもデザイン性があり、商品単価も少し高いものに入れ直したところ、評判が良かったんですね。その流れで北京のポップアップも展開したので、いずれも想定以上の実績で本格展開するにあたっての手応えを掴めました。 ―顧客層は日本と同じでしょうか? 年齢は日本とそれほど変わらず30代中盤がほとんどでしたが、中国では女性比率が圧倒的に高く、女性が7割を占めています。また、メンズ商品を女性の方が購入されるケースも多く、ジェンダーレスの傾向が見られました。 ―中国ではメンズの中でもストリートブランドに勢いがある印象がありましたが。 そうですね。アイコニックなロゴブランドは人気がある印象です。でも我々にはロゴブランドがないので、男性客からの反応は難しいところがありました。中国専用商材の開発は必要だという展望は持っているんですけど。台湾も今そうなんですが、どの国にしてもローカライズは大きなポイントだと思います。そのまま持ち込んで販売していくよりは、現地の趣向性に合わせていけるかどうかが成功の大きいポイント。しっかりローカライズをしていこうと考えています。 ―デザインの効いたセレクトブランドは海外店舗では取り扱わないのでしょうか。 全く販売しないということはないのですが、例えば我々が得意としていてご好評いただいている人気ブランドとの別注は本国ではなくジャパン社との協業なので、中国支社との兼ね合いで持っていくにいけないんです。セレクトショップの難しさがここに出てしまう。これも障壁の一つですね。ただ全商品というわけではないので、その辺りをクリアしながら品揃えを増やしていきたいです。 ―今後は中国で規模拡大を目指していく方針。 当面は中国で本格展開をしていく考えです。台湾は展開を始めて11年目ですが、ようやく収支が合ってきたところなので、中国と台湾にまず力を入れていきます。 ―欧米への出店へのご興味は? 昨年には「ジーユー(GU)」も進出していましたが。 絶対に進出したいという考えは正直なところありません。長期的に見たら可能性としてはあると思いますが、今進めている中期経営計画ではターゲットにしていません。どちらかというと、いまはサプライチェーンの最適化に注力しているので、欧米進出を考えるならそこと相乗させていく必要があります。 ただ、欧米だと、日本のXLがSぐらいのサイズ感になりますから、そうなるとパターンから全て変えていかなくてはならない。それに加えてローカライズが必要となると、壮大な修正をしなくてはなりません。ですから、まずはサプライチェーンの最適化や、デジタライゼーションの取り組みを進めていく。それによって欧米市場への対応も可能になる方に向かえると思うので、その中で考えていきたいですね。 ―いま勢いがある東南アジアはいかがでしょうか。 過去に何度かトライアルはしていたのですが、しばらくお休みをしていました。今ではインバウンド効果も高く、可能性はあるということで研究中です。