【このニュースって何?】「103万円の壁」が問題に → 所得税って何?
高額所得者の恩恵「1億円の壁」
国民民主党が主張するように「103万円の壁」を「178万円の壁」にするということは、給与所得控除と基礎控除を増やすということになります。そうすると減税効果は103万円以上の所得のあるすべての人に及びます。財務省は総額で7兆円から8兆円の減収になるとしています。また、階段状に税率が上がることを考えると、所得の高い人のほうが減税効果は大きいことになります。 国民にとって減税はうれしいことですが、所得の高い人の方が恩恵を受けることや税収が減ることを考えると、もろ手を挙げて歓迎するわけにはいかない気持ちにもなります。 実は税金の壁については、「1億円の壁」という言葉もあります。所得が1億円を境にそれより所得の多い人の税金の負担率が下がっているというデータから生まれた言葉です。超富裕層になると、働いて得る所得より株などの金融商品による所得(金融所得)の方が大きく、金融所得の所得税率は約15%(住民税とあわせて約20%)と一般の所得税の最高税率よりずっと低いために起きている現象と考えられています。 「103万円の壁」の議論とあわせて「1億円の壁」についても議論すると、「高額所得者の恩恵が大きい」「税収減が心配」といった声にもこたえられると筆者は思いますが、どうでしょうか。
一色清 ジャーナリスト