【このニュースって何?】「103万円の壁」が問題に → 所得税って何?
段階的に上がる所得税率と基礎控除
税金の話は細かくて難しいので、ここまでの説明がすんなり頭に入らなかった人も少なくないと思います。ここからは、もう少し大づかみの説明をしようと思います。そもそも所得税って何なのか、という説明になります。 所得税というのは、個人の所得にかかる税金のことです。個人の所得にかかる税金はほかに住民税がありますが、所得税は国に納める税金、つまり国税で、住民税は都道府県や市区町村に納める地方税です。国税の大きな柱には所得税、消費税、法人税の三つがあります。所得税は国税収入の約3割にあたり、消費税と並ぶ国の大きな収入源になっています。 所得と似た言葉に収入があります。ただ、税金の世界では所得と収入ははっきり分けられます。収入は自分に入ってきたお金の総額のことですが、所得はそこから必要経費を引いた金額です。 個人で事業をしている人ならパソコンとか自動車とか収入を得るために必要なものにお金を使うので、そうした必要経費を差し引いたものが所得になります。 会社などに勤めている人の場合は、収入から給与所得控除という収入に応じて決められた金額を差し引いたものが所得になります。勤め人も服や靴や文房具などを買う必要があり、必要経費はあるという考え方です。こうした所得からさらにすべての納税者が対象の基礎控除という一定額を差し引いて課税対象の所得額(課税所得額)が決まります。給与所得控除の最低額が55万円で、基礎控除が一律48万円となっていますので、その合計の103万円までの年収の人は課税所得額がマイナスということになり、所得税はゼロというわけです。 課税所得額は金額によって7段階に分けられ、多くなればなるほど税率が高くなります。195万円未満までが5%、330万円未満までが10%、695万円未満までが20%、900万円未満までが23%、1800万円未満までが33%、4000万円未満までが40%、4000万円以上が45%と決められています。 ただ、課税所得額にその金額に応じた税率をかけると所得税額になるというわけではありません。税額は階段状に増えていくという考え方です。たとえば、課税所得額が800万円の人は、そのうち195万円分に5%、195万円から330万円までの分に10%、330万円から695万円までの分に20%、695万円を超えて800万円までの105万円分に23%がかかるということになります。この計算をするのはややこしいので、国税庁は段階ごとの控除額を速算表にしています。課税所得額が695万円から900万円までの人の控除額は63万6千円になります。つまり、課税所得額が800万円の人なら、800万円×0.23-63万6千円という計算式で所得税額は120万4千円となります。これは、階段に応じて計算した所得税額と同じです。