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悲劇から約1か月…木村花さん不在のリングで女子プロレス「スターダム」の選手たちは何を伝えたかったのか?

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THE PAGE

 会場に向かう足が重い取材がある。とりわけ所属選手が不慮の死を遂げた直後の大会は、選手や関係者と顔を合わせるのも辛い。  6月21日、女子プロレス団体スターダムが、都内の新木場1st RINGで、約3か月ぶりとなる大会を開催した。スターダムは5月23日に亡くなった、木村花さんが所属していた団体。あれから1か月近くが過ぎたが、出場する選手や関係者、そして新型コロナウイルス感染予防のため、ファンクラブ会員100名に限定された観客にとっても、花さんがいない初めての大会だった。    大会は花さんを追悼する10カウントゴングで幕を開けた。続いて花さんと同じユニットの戦友で、救急搬送にも立ち会うこととなった、ジャングル叫女が欠場の挨拶を行った。まだ気持ちの整理がついておらず、闘える状態ではないという理由だった。  彼女は迷った末に欠場を決めた。それは会場を訪れた観客、そして花さんに対する誠意だったのだろう。一方で出場した選手たちの胸の中にも、覚悟や決意、そして悲しみや迷いが渦巻いていたはずである。試合前後に何人かの選手と話をしたが、誰もがこの大会でどんな闘いを見せるべきか迷っていた。  例えば追悼の10カウント直後に行われた、3WAYバトル(3人の選手が同時に闘う試合形式)に出場した吏南。彼女は花さんの形見であるガスマスクを着用して入場し、花さんの得意技だったハイドレンジア(グラウンド式の卍固め)で勝利を奪った。ちなみに吏南は現在中学2年生の13歳。花さんの妹分的な存在だった彼女にとって、ガスマスクと初めて使ったハイドレンジアは、今後に向けての決意表明であり、花さんへの無言のメッセージだった。  第2試合に出場したDEATH山さんは、アリス・クーパーとジーン・シモンズを合成したようなメイクを施し、試合中には決めポーズとともに「DEATH!」を連呼する異色レスラー。花さんが小学校に上がる前からの長い付き合いで、DEATH山さんのキャラクターも、花さんのプロデュースによって生まれた。  とはいえこの大会で「DEATH!」を連呼することには、当然のように迷いもあった。しかし、彼女はこの日の試合では、敢えて普段通りに「DEATH!」を連呼して、会場を笑いに包んだ。それを不謹慎と批判されることも覚悟の上で、彼女は花さんが大好きだった、いつも通りのDEATH山さんを貫いた。吏南とは対照的な形だったが、これもDEATH山さんの決意表明であり、花さんに向けてのメッセージだった。

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