高級時計、なぜ好調? ブライトリングCEO「スイートスポットは7200ドル」
■店づくり、「クール」に徹する
――ブティックは年間50~70店増やしているそうですね。どういったイメージを大事にしていますか。 「ブティックでの商品の露出イコール宣伝広告と位置づけています。パリではシャンゼリゼ通りに400平方メートルのブティックをオープンしました。出店戦略では、どの都市であれ、とりわけ目立つ場所を選定することを重視しています。店づくりはクールであることに徹しています。モーターバイクやビンテージカーを飾り、男性の部屋のように作り込んでいます」 「スウェーデンのストックホルムに新店をオープンしたとき、ファッション誌の女性記者に『この店のイメージは男性的過ぎますか?』と尋ねたら『ここで暮らしたいとは思わないけど、こういう部屋に住んでいる男性なら付き合いたい』と言ってくれました」 「これは我々にとって、実に好ましい反応なんですよ。ブランドは男性的、女性的のいずれかに寄るものです。ブライトリングは男性的なブランドですが、それを偽ることなく女性を引きつけるには、たとえばアイコンとなる人も、我が社のフィルターを通した『ブライトリング的な女性』を選ぶべきだと考えています」 ――eコマースでも高額品が売れる時代ですが、お店でモノを買う行為が究極のぜいたくだという声もあります。 「その通りだと思います。本来ラグジュアリーなものを買う人たちは、購買行為にある種の儀式的な要素を求めるものです。ブティックに行くため移動する、お店でそのブランドに没入する、コレクション全体を見る、スタッフと会話をする。そうした一連の儀式によって特別感と満足度が高まるのです」 「デジタル世代であるZ世代はそうした買い物体験に飢えていると思います。先ほど、ブティックは最大の宣伝広告だと言いましたが、やはり販売活動において1番手の舞台はブティックです。ラグジュアリー分野全体に占めるeコマースの比率は一般に10%程度に過ぎません」