なぜ甲子園4強は史上初の近畿勢独占となったのか?
第103回全国高校野球選手権大会は26日、甲子園球場で準々決勝の4試合が行われ、京都国際(京都)、智弁和歌山(和歌山)、智弁学園(奈良)、近江(滋賀)がベスト4進出を決めた。京都国際、智弁学園、近江がサヨナラ勝利するという異例の激戦となったが、夏の大会で近畿勢が4強を独占するのは初。なぜ異例の現象が起きたのか。27日の休養日を挟み、28日の準決勝は近江対智弁和歌山、智弁学園対京都国際の組み合わせで行われる。
準々決勝3試合がサヨナラゲームの大激戦
甲子園の8強対決には、高校野球の魅力や醍醐味がぎっしりと詰まっていた。 準々決勝の第1試合。初出場の京都国際が驚異的な粘りを発揮する。2点を奪われた直後の8回裏に追いつき、9回に相手のミスで敦賀気比(福井)に3ー2でサヨナラ勝ち。これで1席を確保すると、第2試合は智弁和歌山が15安打9点の猛攻とタレントの揃った投手陣を繰り出し、9ー1で石見智翠館(島根)に圧勝した。 第3試合は智弁学園は9回表に勝ち越しアーチを許し、万事休すと思われたが、裏の攻撃に入り押し出し死球で同点とすると最後は右前へポトリと落ちるヒットで明徳義塾(高知)に3ー2でサヨナラ勝ち。そして第4試合も神戸国際大付(兵庫)が9回二死から4点差を追いつく大激戦。最後は近江がサヨナラ勝利したが、準々決勝では史上初となる3試合がサヨナラゲームという紙一重の戦いの末、近畿勢の4強独占が決まった。 センバツでは1939年に東海勢、1979年には浪商、PL学園、箕島、東洋大姫路の近畿勢が4強を独占したことがあるが、夏の大会では同一地区の4強独占は初めてのことだ。 なぜ、異例の現象が起きたのか。 明徳義塾の名将、馬淵史郎監督はこう分析した。 「これだけ雨で延びたらわれわれは練習する所がないんですよ。それに対し、地元の学校は自分の所の雨天練習場でやれる。地方から来ている学校は雨が降ると、思うように練習会場を確保できない。その環境の違いがある」 今大会は、日本列島に停滞する前線の影響で雨に泣かされた。開幕戦から雨天順延。結局、計6度もの雨天順延があった。近畿圏内のチームは母校で調整できるが、地方から遠征してきているチームは練習場所の確保が容易ではなかった。