ファッション業界のメンタルヘルスの問題とは? ベルリンのクリエイティブエージェンシー代表のフロリアン・ミュラーに聞く
――映画祭「ASVOFF」で「Mental Health in Fashion」をカテゴリーに追加し、キュレーションを手掛けることになった経緯を教えてください。
ミュラー:ダイアンとは20年来の付き合いになりますが、実は私がファッション界で初めて出会った人が彼女なのです。それ以来、さまざまなサポートをしてくれています。私も彼女のファッションプラットフォーム「A Shaded View on Fashion」で執筆をしたり、「ASVOFF」のゲスト管理の手伝いやサステナビリティー部門の審査員も務めたことがあります。前回の映画祭の際に「Mental Health in Fashion」キャンペーンについてダイアンに話し、新たなカテゴリーとしてキュレーションしたいと提案したところ、すぐに承諾してくれました。
精神疾患の問題を教育の場だけでなく、ファッション業界内でも直接可視化することが重要だと考えています。「ASVOFF」のようなファッション界の重鎮たちが集まるイベントは完璧なプラットフォームですし、この機会を持てたことを大変光栄に思っています。
――「ASVOFF」では、どのようなメッセージを伝えたいですか?
ミュラー:「ASVOFF」で「Mental Health in Fashion」カテゴリーを導入することによって、ファッション業界に大きな影響を与えることを期待しています。デザインスタジオや生産工場、そして、消費者行動における精神疾患の問題について意識を高め、差別や偏見を減少させ、ファッション業界がウェルビーイングに与える影響や課題をサプライチェーン全体で浮き彫りにすることが目標です。
審査員には、ソッツァーニ財団のクリエイティブディレクターのサラ・ソッツァーニ・マイノ、GmbHデザイナーのベンジャミン・アレクサンダー・ヒューズビー、「VOGUE」や「i-D」などを手掛けるエディターのアレクサンドラ・ボンディ・デ・アントニアを始めとするファッション、心理カウンセリング、クリエイティブアーツの分野における専門家8名を選びました。彼らの独自の視点が、ファッションとメンタルヘルスの関連性を深く理解する手助けをしてくれると期待しています。