ジャパネットの事業承継 親子が衝突したら距離を120キロ離す
旭人氏:はい、コールセンター事業を任された後、さらに物流事業も完全に任せてもらって。 星野氏:つまり、親子の意見の違いみたいなものが出てきたとき、分担を分けた、ということですか。 旭人氏:そうですね。 星野氏:分担を分けて、ここだけは自由にやってみろよ、と。 旭人氏:はい。そうしてもらえたのは、すごくよかったです。 星野氏:そこの分野に関して、お父さんは、本当にかなり自由にやらせてくれたわけですか。 ●物理的に離れているから自由になれる 旭人氏:そうですね。もちろん「自分は昔、コールセンターをこうやっていた」とか「受注はこうやっていた」という話は定期的に出てくるんですが、基本的に離れていますから。もう物理的に離れているので、ほぼほぼ自由なんです。例えば、福岡だけ、僕の判断でノー残業デーを導入してしまうとか、制度的なことも変えてしまって。そのうち、僕の方から「別会社にしてほしい」と頼みました。一つの部署だと、自由にやるにしても限界があるので。それを聞き入れてもらって、別会社の社長になったのが30歳くらいで、そこからはさらに自由でしたね。 星野氏:それは、事業承継におけるすごくいい手法だと思います。重要なポイントが2つあって、第1に、別会社にさせてもらうこと。範囲を区切って、その中を完全に任せるということですね。そして第2に、物理的に離れたこと。 旭人氏:離れたといっても、同じ九州の佐世保と福岡ですが、それは一番大きかった気がします。やっぱり毎日、顔を合わせないというのは大きいです。 星野氏:佐世保の本社と福岡のコールセンターは何キロ(メートル)くらい、離れているんですか。 旭人氏:120~130キロくらいですね。あとは、僕が任されたのが、父の得意じゃない領域だったというのも、大きかった気がしています。 星野氏:第3のポイントですね。これらは、ファミリービジネスにおける事業承継のノウハウとして記録に残したいと思います。