Apple Watchの睡眠トラッカーに表示される「コア睡眠」とは？

今日は、Apple Watchに表示される用語のなかでもとくに紛らわしいものについてご説明します。 それは、「レム睡眠」、「深い睡眠」（これはその名の通りの意味）、そして「コア睡眠」です。コア睡眠の意味を調べると、Appleが意図するものとは逆の定義が出てきます。それはなぜでしょうか。 この紛らわしさは、科学文献の中で「コア睡眠」という用語がいくつかの異なる意味で使われていることに起因します。重要なのは、この睡眠段階が認知されていないということ。 一方でAppleはApple Watchが検出できる睡眠段階の呼称を変更して、そのひとつを「コア睡眠」と呼んでいるのです。

Appleは軽い睡眠を「コア睡眠」としている

Appleの睡眠データに表示される用語をわかりやすくご説明します。 Apple Watchは、主にユーザーの動きから、今どの睡眠段階にあるか推測しようとします（睡眠段階を正確に知るには、より高度な機器を使った睡眠調査が必要です。Apple Watchは今あるデータでベストを尽くしています）。 Appleによれば、Apple Watchは次の4つの睡眠の状態を見分けられます。 覚醒 レム睡眠 軽い睡眠（「コア睡眠」） 深い睡眠 上記のカテゴリーは、神経科学者が脳波計につないで観察する睡眠ポリグラフ検査(頭にワイヤーを取り付けるあの検査です）で観察できる睡眠段階にほぼ対応しています。 科学者たちは、ノンレム睡眠には3つの段階があり、その3つ目である段階3が「深い眠り」であると認識しています。段階1（N1）と段階2（N2）は「軽い」睡眠と呼ばれることもありますが、Apple Watchでは「コア睡眠」とされているのです。 では、なぜAppleは一般的に使用されている用語を使わなかったのでしょうか。同社は睡眠段階アルゴリズムに関する文書の中で、「軽い睡眠」という用語を使用するとユーザーに誤解されるのではないかと懸念したと語っています。 「コア」というラベルは、「軽い」という用語が意図しない意味を持つ可能性を避けるために選ばれました。 段階2（N2）は一晩の睡眠の50％以上を占めることが多く、正常であり、睡眠紡錘とK複合体を含む睡眠生理学の重要な側面だからです。 つまり、ユーザーは「軽い」睡眠と聞くと「深い」睡眠ほど重要であると思うかもしれないとAppleは考え、「軽い」の代わりに重要に聞こえる新しい名称を選んだのです。 ノンレム睡眠の段階1と段階2はAppleの「コア」睡眠に該当し、段階3は「深い」睡眠です。Appleが行なったテストでは、Apple Watchが「コア」と表示したときに脳波が段階2となっている場合、アルゴリズムでは成功とみなされたのです。